♂のボクは、♀︎に恋をしない

僕の好きな人【side秋】

僕には好きな人がいる。
1年2組、天月耀浬。
僕の幼なじみで、友達だ。
だけど耀浬には好きな人がいる。
桜木琉斗…結構ヤンチャ系男子で、勉強はあまり出来ないけれど、その分男友達がたくさんいて、女子とも程よく話す。
顔も良く整っていて、背も高い。
髪は女子ウケのサラサラストレート。
よく肉食系女子に髪型を遊ばれている。
かく言う僕も…。
みんなは僕のこと男として扱ってくれるけど、それは半分バカにして面白がっていることを僕は知ってる。
朝。
耀浬と隣同士の家を出て、耀浬の家に入る。
朝が弱い耀浬を、僕が毎回起こしに行っているんだ。
「お邪魔します」
中に入って、リビングに顔を出す。
耀浬ママが朝ごはんを作ってるはずだから、その間に耀浬を起こさなきゃ。
「あら〜秋ちゃん!いらっしゃい〜、いつもありがとね〜」
ニコニコ顔の耀浬ママに、笑顔を返した。
「いえいえ、大したことないです」
そう言ってからリビングを出て階段を登り、耀浬の部屋に入る。
案の定、ぐーすか寝ている耀浬。
「ひーかーりー!起きろー!」
べしんと床に落ちていたクッションを投げつけると、「んー…」と起きる気配。
「耀浬!起きてっ!」
「んー…っ」
起きるかな…?と思ったつかの間。
「え?ちょ、わぁっ!?」
なんと、耀浬は僕の腕を掴んで抱き寄せてきた!
「ひ、耀浬…っ!」
「んふふ…」
あわわわわ…。
どうしよう、どうしよう…。
友情のハグ…日常的なハグは大丈夫だけど…む、無防備で何の準備も出来てないし!
第1好きな人にハグされてドキドキしない人なんている!?
「耀浬!起きて、僕!秋だよ!」
その言葉にパチッと目を見開く耀浬。
「ん…?あぁ秋…?おはよぅ…」
はぁ…。
「秋顔真っ赤。可愛い」
「はっ!?」
か…可愛い!?
「また真っ赤になった。寒い?」
「〜っ、耀浬の意地悪もう知らん」
ぷいっとそっぽを向くと、後ろからぎゅっと抱きつかれた。
「ごめんって…おはよう、大好き」
これが、耀浬なりの男子同士の冗談。
びーえるもどきのことを男子同士でして、笑わせるらしい。
「許す」
僕にとっては少女漫画のドキドキシーンを再現してくれるみたいですごく好き。
朝からドキドキしっぱなしで困るなぁ…なんてノロケを心の中で言い、2人でリビングに降りた。
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