♂のボクは、♀︎に恋をしない

デート(？)

待ち合わせ日当日。
朝から服を合わせたり、顔を洗ったり、髪をとかしたりして準備する。
前髪もしっかり整えて…。
ちょっとだけメイクもしてみた。
服はクリーム色のパーカーに紺色のジーンズ、黒色のキャップ。
ふふふ〜ん♪
鼻歌を歌いながらトーストをかじる。
待ち合わせ時間30分前になったのを確認して家を出る。


あっ、もう来てる！
「あ、おはよ〜！」
遅れないように10分前には着くつもりだったのに…いつから待ってたんだろ。
「お、おはようっ」
「じゃ、早速…」
IDを読み取って友達追加。
すぐに『りゅうと』のアイコンが。
「ありがとう〜」
スマホをしまってバイバイしようとしたとき。
「なぁ、このあと時間ある？」
「えっと…特にはないかな」
「じゃあさ、どっか出かけに行こ！」
決まり！とパチンと手を叩き、僕の手を握る琉斗。
「ほら、行くぞ！」
握られた手を振り払う度胸はなく、大人しく繋がれたままで歩き出す。
「な、甘いもの好き？」
え？
甘いもの…？
「好きだよ！」
こくりと頷くと、琉斗はぱぁっと笑顔になって。
「近くにめっちゃ美味いスイーツカフェできたらしくてさ！行ってみよっかな〜って」
「いいの？やったぁ…！」
スイーツカフェ…！
甘いものは大好きだから…めっちゃ嬉しい！
「喜んでもらえてよかった」
ふふっと笑う琉斗にまたドキッとしたのは内緒。

10分ほど歩いてたどり着いたのは、かなりおしゃれなお店。
「ここだよ」
「まじ？…すっごいおしゃれなんだね…！」
「ふふっ、そーだね」
ドアを開けると、カランコロンと鈴の可愛い音が響く。
「いらっしゃいませ」
中から茶色のエプロンをつけたお姉さんが出てくる。
「お客様何名ですか？」
「2人です」
「では、こちらへどうぞ」
テキパキと案内してくれるお姉さん。
店内には人は結構いて、人気なんだなぁ…と思った。
イスに座り、メニュー表を開く。
うわぁ…！
めちゃくちゃ種類ある…！
モンブランも美味しそうだし、いちごのショートケーキも美味しそう…！
クレームブリュレもいいなぁ…！
じーっとメニュー表を眺めている僕に、琉斗は笑って言った。
「ゆっくり選んでていいよ。ちょっとトイレ行ってくる」
「わかった！」
メニューとお財布の中身と相談しながら品物を決める。
期間限定シャインマスカットゼリーもいいな…。
結局悩み抜いて決めたのが、メロンのプリンアラモード。
値段は670円と結構お高め。
「決まった？」
「うん！」
「おけ…すみませーん！注文いいですか？」
「はーい！少々お待ちください」
お姉さんが来ると、琉斗はテキパキと注文を進めていく。
「このメロンプリンアラモードと、モンブランパフェを下さい」
お姉さんが頭を下げて去って行くと、慌てて琉斗にお礼を言う。
「ありがと、琉斗」
「どーいたしまして。俺も甘いの好きだけどこんな店男1人で入れねーし…今日は付き合ってくれてさんきゅーな」
ふわりと微笑む琉斗に、ニコッと笑い返す。
さんきゅーはこっちのセリフだよ…！
2人で喋りながらケーキを待つ。
その間に、琉斗が面白いYouTuberの動画を見せてくれて、凄く楽しかった。