聖騎士さまに、愛のない婚姻を捧げられています!

「ねえ。リリシア。……本当に良かったのかな。王妃様のお誘いを断って。彼女の側仕えになることなんて、滅多にない良い機会だったんじゃないだろうか」

 貴族女性にとって、王妃の側に侍るのは確かに最高の名誉だ。だが、リリシアは首を横に振った。

「王妃様にお仕えする方は他にもたくさんふさわしい、素晴らしい夫人がいらっしゃいますわ。でも」

 彼女は夜着を羽織り、寝台に横たわっている夫の側に潜り込んだ。

「あなた様を支え、愛するのは私だけですから、これ以上に大切な役目はありません」

 リリシアは彼の頬に音を立てて口づける。

「どこにも行きませんわ」

 セヴィリスは大きく目を見開くと、リリシアに覆い被さり、激しく抱きしめた。

「貴女は、ほんとうに、可愛らしいね。すごく嬉しいよ」

 口づけの雨を降らせる夫を、はにかみながら受け止める。ふと、彼女の胸の上でセヴィリスが顔を上げた。

「今夜の貴女はとても美しかった。髪も、ドレスも、肌もその瞳もぜんぶ」
「あ、ありがとうございます……」

 彼はため息をつく。

「貴女は色々な人に見られていたのを知っている?私の隣に立っているのに、こんなに遠く感じたことはないよ」
「……え?ど、どういうことでしょうか」

 リリシアは首を傾げた。
 会場の視線はほとんど夫に向かっていたはずだ。セヴィリスの美しさは出会った頃よりますます輝き、最近は凛とした風格まで備わってきている。
 彼は自分に向けられた讃美の視線よりも、リリシアのことが気になったらしい。

「特に男性陣がすごかった。式典の時も、あんなに心配だったことはない。皆が、貴女を見て……」
 不意にセヴィリスは唇を噛み締め、彼女の胸に顔を埋めた。
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