聖騎士さまに、愛のない婚姻を捧げられています!
リリシアは一瞬ぱっと顔を輝かせた。楽しいお茶会は、彼女の長年の憧れだ。たくさんの貴婦人たちと華やかな席でおしゃべりを楽しむ姿が頭に浮かんだ。
けれども。
「大変ありがたいお話ですが、グリンデル領は遠く、なかなかこちらへ伺うことはできないのです。本当に申し訳ありません……」
彼女は慎ましやかに頭を下げた。
「あら……そうなの……では、ここに住んで仕えたらいいじゃない、ねえ?デインハルト伯爵」
「……申し訳ありません。私たちは新婚ですので、もう少し、二人の時間が必要でございます、王妃殿下」
「まぁ」
「あら」
「あの方たちって新婚……だったかしら……?ねえ?」
王妃と周りの貴婦人は顔を見合わせた。よほど愛し合っている夫婦でない限り、一年もすれば互いに別の楽しみを見つけるのが王都の人間の常だ。そして、愛し合っている夫婦などというのは幻想に過ぎない。
だというのに、この二人は……。
聖騎士が、魔物が、というのは正直宮廷の貴婦人たちにはほとんど興味のない話だ。だからそれを手助けするなどというのも意味がわからなかった。
やはり、デインハルト家は変わっているという噂は本当だ、というのが彼女たちの今夜の結論だった。
王妃とその取り巻きに半分呆れられながら、その後も二人は宴を楽しんだのだった。
その夜。