私の一等星

7. 篠崎綾斗said

「そ、それじゃあ!」
そう言って、呼び止める間もなく走り去っていく小柄な背中をじっと見つめる。上履きの色が赤色だったから多分一年生。零れ落ちそうなくらい目が大きくて、ふわふわの茶髪が目を引く女の子だった。そんな女の子にもらった絆創膏を紙で切ってしまった薬指に巻きつける。
「おーい綾斗!そこらへんの女子から絆創膏もらってきたぞ」
親友の丹波朝陽が絆創膏を片手にやってくる。朝陽は短髪の黒髪が似合うスポーツ系のイケメンだ。腹筋もかなり割れていて、見た目だけはどっかの部活の爽やか系エースだが、実はとある暴走族の総長をやっている。
「……おまえ、持ってたの?」
朝陽は俺の薬指を見てまぶたをパチパチとさせる。
「いや、一年の女の子にもらった」
さっきのお目々ぱっちりちゃんの姿を思い浮かべる。
「知り合いの子?」
「いや、初めましてだけど。なんでそんなこと聞くの?」
親友を前にして貼り付けた笑顔と優しい言葉遣いは剥がれ落ち、素の自分になる。
「いや、綾斗が覚える必要のない初対面の女子の特徴を覚えてるの珍しいなと思って」
……確かに言われてみればそうかもしれない。
「ほほーう。もしかしてあれか?一目惚れか?」
朝陽のニヤニヤした笑みを見た瞬間、
「興味ない。どうでもいいし時間の無駄。さっさと帰ろう」
話を逸らすかのように言葉がこぼれ落ちる。無意識のうちにこぼれ出たものに内心びっくりするものの、顔は無表情のままなのだろう。
「あ〜あ、今の女子共が見たらなんて言うんだか。お前に夢見てる子多いんだぞ。いつも笑顔で優しい王子様って。」
「くだらない。煩い。黙って。……ていうかもう喋んのも面倒くさい。」
そう言って立ち上がる。山になったプリントをそっと持ち上げ、落とさないように角度を調整する。
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