私の一等星
「あっそ。……そういえばお前、バスケ部辞めたらしいじゃん」
朝陽は俺から紙束を半分奪い取ると、「これ、職員室に運ぶんだよな?」と歩き出す。
「あー。うん。練習つまらなくて」
親友の前なので正直に答えた。
「うわー。嫌なやつだな。『きつい』とか『大変』とかじゃなくて『簡単すぎてつまらん。ゆえに面倒くさい』て。」
的確に心情を当てられ返す言葉もない。クラスメイトにはそう言われるだろうから黙っていたけど、裏世界で「赤の死神」なんていわれているのお前が何を言ってるんだ。俺より運動できるくせに。
「……」
「何か言えよ!で、今年どうすんの?帰宅部?」
「うん。……いや、待って違う。演劇部に入る、俺」
「演劇部?」
「うん。音根に泣きつかれて」
「あ~。なるほどね。人数やばいもんな。あそこ」
朝陽は遠い目をした。これは、触れちゃいけないやつだ。
「そうなの?」
「えっ知らねぇの?じゃあ逆になんで演劇部入るんだよ」
「んー。感?」
コテンと首を傾げる。正直、自分でもよくわからない。
「あー。まぁ確かに綾斗の感はよく当たるけど」
苦笑いする朝陽を、いつものごとく無表情に見つめ返す。
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