私の一等星

2.

「あれ、何処だここ?」
一年生だと思って追いかけていた人物が2年2組の教室に入っていくのを見て、私はものすごく失礼な勘違いをしていたことに気がついた。慌てて来た道を戻るものの、なにせこの学校は広い。完全に迷子になってしまった。人と話すことが苦手なこともあり、先輩に話しかけられない。というか、話しかけても声が小さいのか、雑音が大きいのか気づいてもらえない。廊下の端に寄りながら一人泣きそうになる。そんな顔を見られないように俯いた。こんなことで泣いているとバレたくないという恐怖から涙も拭えない。そんなとき、
「君、一年生だよね?」
男性の高めの声が降ってきた。
「はえ~」
視界に日本人ばなれした甘栗色の柔らかそうな髪と青い瞳が映り、変な声が出てしまった。羞恥心から頬が火照る。
「え、あ。その……はい。ま、迷子になってしまって」
再び俯き目元をゴシゴシと擦ってからおそるおそる顔を上げる。
「そっか。この学校無駄に大きいしね。分かるよその気持ち。1年通ってる俺も、今だに迷うときあるし。」
フワッと先輩は笑う。今までに嗅いだことのない優しい太陽のような香りに私は思わず鼻をスンと鳴らした。あぁこの香り好きだなと思う。
「まだ時間あるし、良かったら案内しようか。」
「えっ?」
私が断る間もなく先輩は歩き出す。
「ほら、速く!」
私がオロオロしているからだろうか。手首をつかまれ歩き出す。まったく不快ではない。これがイケメンなら何をしても許されるということなのだろうか。つかまれた手首に全神経が集中する。なんだろう、この感じ。心と頭にもやがかかっているようで、現実味がない。
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