一年後に離婚すると言われてから三年が経ちましたが、まだその気配はありません。
 マグナス様とラナーシャの事情を理解したことによって、私は安心して生活を送ることができるようになった。
 母のような人を放っておくことはできない。そんな気持ちで行動して、二人に余計なことを話させてしまったのは申し訳ないと思っている。
 ただ結局の所、あのまま色々と抱えたままではお互いに暮らしにくかったのではないかとも思ってしまう。故に、私の行動が正しかったどうかは微妙な所かもしれない。

「まあ、お互いに腹を割って話せて、相互理解が深まったことは良いことともいえるのだけれど……」

 部屋の中で伸びをしながら、私はゆっくりと起き上がる。
 マグナス様との結婚生活は、一年で終わる。故に仲を深める必要なんてない。
 そう思っていたが、改めて考えてみると一年は中々に長い期間である。その期間を一緒に生活するなら、何かを隠しておくなんて無理な話なのかもしれない。

「ただ、何れ終わる関係性の相手に打ち明けるには少々重たい問題ではあったのよね、お互いに……」

 窓を開けると、外からいい風が吹き込んできた。
 春の陽気が感じられる。こんな天気がいい日には、外で日向ぼっこでもしたくなってくる。
 私はまだ幼かった頃、母とそうしていたことを思い出していた。その時の母は、本当に楽しそうに心から笑っていたような気がする。
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