一年後に離婚すると言われてから三年が経ちましたが、まだその気配はありません。
「それは一体、どういう意味なのかしら?」
「言葉のままの意味だ。ずっと思っていたんだ。君が何かを抱えていると」
「それは……」
「それを知って、俺は改めて理解した。君が過酷な運命と戦っているのだということを。そんな君を、俺は守りたいと思っている」

 マグナス様の真っ直ぐな言葉に、私は思わず彼から目をそらしてしまった。
 なんというか、恥ずかしかったのだ。その言葉は嬉しかったのだが、マグナス様の顔を真っ直ぐに見られない。

「さて、まあまずは兄上からの返答を待たなければならないな……こちらでも調査をしていきたいが、まずは足並みを揃えなければ」
「ハワード様は、協力してくれるのよね?」
「それは間違いないことだ。ただ、兄上の傍には父上や母上がいる。そこが少々心配な点だ」
「派手に動くことはできないということね。こちらも、そんなに人手がある訳ではないのでしょう?」
「ああ、長い戦いになるだろうな。だが、それでもいい。ばれてしまうよりはいいからな」

 事件の調査は、長い目で見ることになるだろう。仕方ないことではあるが、それは中々にもどかしいことである。
 ただ私達が最も気を付けるべきことは、ばれないことだ。水面下で動いて、確証が得られてから大胆に動く。今の私達は、そのように戦わなければならないのだ。
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