一年後に離婚すると言われてから三年が経ちましたが、まだその気配はありません。
 二人はこの教会にて、シスターとして活動している。真面目で勤勉だと、評判であるそうだ。
 この二人がここに落ち着いてくれて、本当に良かったと思っている。色々とあったが、ここはいい着地点だったといえるだろう。

「それにしても、本当に可愛いですね。マルティアちゃんは……」
「ええ、私達に抱っこされても、ちっとも泣かないんですね? アラティア様とマグナス様、どちらに似たのでしょうか?」
「人懐っこい所は、間違いなくアラティアに似だ」
「そ、そうなのかしら?」

 私達の娘マルティアは、イレーヌの腕の中で笑顔を浮かべている。
 彼女は、本当に誰に抱かれてもそんな感じだ。ただその人懐っこさが私由来というのは、本当なのだろうか。私はそんなに、人懐っこい訳ではないと思うのだが。

「この子は将来、どんな子になるのでしょうね……」
「ふふ、それは私達にとって一番の楽しみよ」
「ああ、この子の未来は俺達の希望だ」

 彼女は、これからの幸せな未来の象徴のような存在だ。その笑顔を失わせてはならない。その笑顔を守ることこそが、私達の使命なのだ。
 そこで私は、マグナスと顔を見合わせた。彼も同じ気持ちであるだろう。
 私はこれからも彼とともに歩んでいく。この小さな命を二人で守っていくのだ。その先に待っているのは、きっと幸せな未来であるだろう。


END
< 88 / 88 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:30

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

表紙を見る
金髪のカリスマ美容師(見習い)に髪を切ってもらうことになりました。

総文字数/12,979

恋愛(ラブコメ)5ページ

第4回noicomiマンガシナリオ大賞エントリー中
表紙を見る
婚約者の浮気相手は母でした。

総文字数/44,596

ファンタジー116ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop