知人の紹介で
 予定通りお盆付近の一週間は休みを取り、実家へと帰省した。陽菜は全日ではないが、何日かはバイトに来ており、陽菜が来ているときには邪魔にならない程度で陽菜に構って過ごした。

 そうして優作の短い夏休みも明日で終わりを迎えるという日、その日は地元の夏祭りが開催されていて、表の通りには時折浴衣姿の人らが歩いていた。

「今日は夏祭りだから、そっちに人が流れてるみたいねー」

 母が外を見ながらそうこぼせば、陽菜もつられて外に目を向ける。

「お祭りやってるんですね。いいなー」
「あ、ちょうどいいから、優作連れてってやりなさいよ」
「え?」

 急に自分に話を振られてすぐに反応できないでいたら、母はさらに畳みかけてきた。

「今日はもうそんなに混まないだろうし、陽菜ちゃん夏祭りに連れてってやりなさい」
「え、いや、俺と行っても陽菜ちゃんは楽しくないだろ」

 陽菜みたいなかわいい子と連れ立って歩けるのは優作にしてみれば役得でしかないが、陽菜はこんな年上の男と一緒に祭りに行っても楽しくはないだろう。

「あら、そんなことないでしょ。ねえ?」
「はい! 優作さんと夏祭り行きたいです!」

 陽菜の目はきらきらと輝いている。気を遣って言っているというわけでもなさそうだ。本当に自分でいいのだろうかとやはり思ってしまうが、本人が望んでいるなら断る理由もないと、優作は陽菜を祭りへ連れていってやることにした。

「そっか。じゃあ、一緒に行くか」
「はい!」
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