知人の紹介で
 そうして陽菜はもう少しで半分というところまで食べて、おずおずと優作にそれを差し出してきた。

「もういいの?」
「……うん」
「こっち食べる?」
「食べます」
「じゃあ、交換」

 りんご飴を受け取り、チョコバナナを渡す。受け取ったりんご飴にかじりつけば懐かしい味がした。

「うん、懐かしい」

 優作がりんご飴を食べ進める中、陽菜はチョコバナナには口をつけずに、ちらちらと優作を窺ってくる。

「ん?」

 どうしたのかと首を傾げてみれば、陽菜は突然片手で顔を覆って俯いてしまった。

「え、どうしたの?」
「……私の食べかけだから」

 そこでようやく合点がいった。久しくそういうのからは遠ざかっていたから、全然気遣えなかった。確かに自分の食べかけのものを、他人に食べられるのは嫌かもしれない。ちゃんと最初に配慮してやるべきだった。

「ごめん。嫌だった? 最初に気づかなくてごめんね?」

 今さらだが、そのことを優作が謝れば、陽菜は大きく首をブンブンと横に振った。

「……大丈夫です。優作さんなら大丈夫」
「そう?」
「はい。でも、優作さんが嫌だったら、持って帰って自分で食べます」
「俺は気にしないからいいよ。陽菜ちゃんは自分の食べたいだけ食べればいい。ね?」

 優作がそう返せば、陽菜は小さく頷いて、ようやくチョコバナナに口をつけた。
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