知人の紹介で
「うん。じゃあ、関係を深めるために、今その行為をすればいいのかというと、それも違うと僕は思った。性行為っていうのは生殖行為だから、妊娠の可能性があるわけで、そうなると人間である僕らは結婚なんかの形式的なことも考えないといけないと思う。子供を育てる覚悟とか環境とかそういうものも必要になる」

 そこまで聞いて、衣月は感動を覚えた。ここまで思考が被るとは思わなかったのだ。衣月もその行為に踏み込むには恋人という関係では不足だと考えていた。

「そうだね。私も同じこと考えたよ」
「結婚してそこに踏み切るという選択肢もあるけど、僕らはまだ手を繋いだだけの二人だから、今そこに至るのは時期尚早だと思うんだ。きっと、僕らの根底にはそれを求める本能があるんだろうけど、今はそこに至るまでの過程をゆっくり進めばいいんじゃないかな」
「その過程っていうのは抱擁とか口づけとかそういうことだよね?」

 それは衣月がたどり着いた答えでもある。もう少し志信との触れ合いを増やしてみたいのだという自身の想いに、調べながら気づいたのだ。
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