知人の紹介で
「……これを聞いてください」

 湊斗はそう言うとスマホを取りだし、何かの音声を再生しはじめた。

 そして、流れはじめたそれは、純花と湊斗二人の会話のようであったが、純花には全く身に覚えのないものであった。

『純花さんが好き。僕の気持ち受け取ってくれますか?』
『ありがとう、湊斗くん。でも、私は湊斗くんの先生だから……応えられないよ』
『どうして? 僕は純花さんのおかげで頑張れてるんだよ。だから、純花さんがそばで応援してくれないと困る。ちゃんと大学に受かったらでいいから、僕と付き合ってください』
『ごめん』
『なんで? 純花さんは僕のこと好きじゃない?』
『好きだよ』
『じゃあ、問題ないよね? やっぱり年下の僕だと頼りない?』
『そんなことないよ。湊斗くんはとても素敵だよ。だから、私じゃなくて、きっともっと素敵な人が現れるよ』
『嫌だよ。僕は純花さんがいいんだよ。僕の気持ちが信じられないのなら、結婚して証明する。高校卒業したら結婚しよう?』
『それはだめだよ。ご両親がお許しにならないよ。湊斗くんのことは卒業してもずっと応援してるから。ね?』
『ひどいよ、純花さん。両想いなのにどうして』

 確かに自分の声に聞こえるが、この会話に全く心当たりがない。似たような会話は先程したが、明らかに違う。純花は状況が飲み込めずに頭が真っ白になってしまった。

 だが、湊斗はそんな純花にも構わず話を続けていく。
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