知人の紹介で
「純花さん。ごめんね、強引なことして。純花さんは絶対に遠慮すると思ったから、強硬手段に出た。でも、ちゃんと純花さんの想いは確かめたからいいでしょ? 僕と付き合ってくれるよね?」

 すぐにでも許可が欲しいからと、南条家へ二人して向かう道すがら、湊斗が悪びれもせずにそんなことを言ってきた。

「強硬手段って……私、あんな会話をした覚えないんだけど……」
「それはごめんなさい。実は今までの純花さんとの会話ずっと録音してて、それを切り貼りして作ったんだ」
「ええ!?」

 湊斗はここへきてとんでもない暴露をしはじめた。録音されていただなんて全く気付かなかった。

「ごめんなさい」
「……なんでそんなまどろっこしいことしたの?」
「純花さんも両親もすぐに認めてくれるなら使うつもりじゃなかったよ? でも、純花さんは好きって言ってくれない気がしたし、両親も反対しそうだったから、ドラマチックな会話を聞かせれば説得力が増すと思って用意してた。母さんこういうのに弱いし」

 どうやら母の情に訴えかける作戦をあらかじめ用意していたらしい。そのことにも驚くが、やはり録音されていたという事実が未だ信じられない。
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