知人の紹介で
「そんなふうにまた会うなんて縁があるのかもね」
「嫌よ、そんな縁。これ以上嫌味言われたくないし。もうせっかくこの間のことは忘れかけてたのに……」

 千景が不満げな表情をすれば、愛子はクスクスと笑っている。

「でも、とてもいい人だね。女の子に譲ってあげるなんて」
「……うん。そうなんだよねー。すごくスマートで大人の対応だったし。なんだか正解を見せつけられた感じで……だから、あんな嫌味言われてもさ、自業自得だって思って飲み込むしかなくて、すごく複雑な気分になるのよ」

 千景は、自分の至らなさ加減を浮き彫りにされたようで、なんとも情けない気持ちになっていた。あの男からの容赦ない侮蔑の言葉に腹立ちもするが、その感情を抱くこともおこがましいと思ってしまうから、またもや感情の行き場をなくしているわけだ。きっとしばらくはこのモヤモヤ感情と付き合わねばならないだろう。

 二度もあの場所で変な出会い方をするなんて、やはりしばらくあの店には近づかないほうがいいのかもしれない。そんなふうに思った千景はこの日からまたあのカフェへは寄り付かなくなった。


 けれど、二度あることは三度あるとはよく言ったもので、あの場を避けていてもそれが訪れるときには訪れてしまうらしかった。
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