授かり盲愛婚。 〜ハイスペ紳士とラグジュアリ一な一夜を過ごしたら、愛の結晶を宿しました。〜
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それからというものの私は、侑埜さんから逃げ続けていた。
逃げているというより、合わせる顔がないと言った方がいいのか……どちらにせよ、私は好きだという言葉をまんまと信じてお酒が入っていたとはいえ身体を重ねてしまって妊娠をした。
もしかしたら、喜んでもらえるんじゃないかって思ったのに……婚約報道。
ただ単に私が馬鹿だったのだと思わずにはいられない。
「史菜ちゃん」
「あ、星萊さん。星萊さんもお昼ですか?」
「うん。そうよ……今日も疲れたね」
彼から逃げているが反対に椿谷さんと仲良くなった。椿谷さんって呼んでいたが“星萊さん”と呼ぶようになり、星萊さんも私を名前で呼ぶようになった。
名前で呼び合う仲であり、悪阻で辛いときはサポートしてくれていてお姉さん的存在へとなった。
「今日、体調は大丈夫?」
「はい。体調は多分大丈夫です。星萊さんが教えてくれた野菜ジュース毎日作って飲んでいて、それを飲むようになって身体が楽になった気もしてます」
「良かった。ミキサーも役立ってる?」
「はい、とても。あんないいもの貰ってしまって申し訳ないです」
ミキサーは、野菜ジュースを作るためのもので星萊さんが使わないからよかったらとくれたもの。
食事ができていなかったので、野菜ジュースを提案してくれてそれを飲むようになったらお腹も満腹になるし栄養も取れるし貧血も治った気がする。
「新しいミキサー買いたかったから逆にありがたかったよ。また何かあれば言ってね、なんでも聞くから」
「ありがとうございます、星萊さん」
私はお礼を言うと、先に仕事へと戻った。