人狼様に嫁ぎます〜シンデレラ・ウェディング〜
ヴァイオレット・カッシング
二週間後、ヴァイオレットの姿はフェリシアーノの住む王宮にあった。ヴァイオレットだけでなく、彼女の隣には宝石で着飾ったイザベルとチャールズが立っている。その後ろにはミモザがいた。

イヴァンの屋敷やランカスターの屋敷よりも広く、豪華絢爛な調度品が並べられた応接室にはフェリシアーノとサクラ、オリバーと数人の護衛がいる。どこか重い空気の中、フェリシアーノがヴァイオレットに訊ねた。

「ヴァイオレット、イヴァンは?」

「イヴァン様は所用を済ませてから来るそうです」

質問に答えたヴァイオレットの隣でイザベルが「私との結婚の準備でしょ?きっとゴージャスなウェディングドレスを用意してくれているんだわ!」と口を挟んではしゃぐ。イザベルにヴァイオレットは何も言わないまま、フェリシアーノたちの方を見ていた。

「さて、今日二人がここに来たのはシャーデンフロイデの調査が終わったからでよかったかな?」

ヴァイオレットとイザベルは顔を見合わせる。紫の瞳は緊張と不安で揺れ、青い瞳は自信満々に大きく開かれている。

「フェリシアーノ様、私から報告させてください」

イザベルが一歩前に出て、得意げに呪文を唱えて杖を振る。杖の先から雲のような煙が上がり、やがてそこに映像が映し出されていった。
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