両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
「なにより藤沢家は国内はもちろん、海外の政治家や経済界のVIPたちとも繋がりが深いからね。アジアの権力者の中にはお父さんの熱狂的なファンも多いし」
 父はちょっと自慢げに胸を張る。
 特権階級が強い力を持つ国では、正攻法よりも人脈と根回しが物をいう。吉永自動車にとって、藤沢家の影響力はとても魅力的なんだろうと理解できた。
「それで、彩菜。吉永家との縁組の話はどう思う?」
「どうって言われても……」
 我が家にとってはありがたいお話だと思う。だけど、突然すぎる提案にまだ私は混乱していた。
 だって、男の人とお付き合いした経験もないのにいきなり結婚するなんて……。そう考え、はっとして顔を上げる。
「あの。結婚って、翔真さんと? それとも悠希と?」
 父が口にしたのは吉永家との縁組という言葉だけだ。具体的に誰ととは言っていない。
「あぁ。まず彩菜の気持ちを確認しようと思って、詳しい話は聞いていなかったけど」
 ということは、翔真さんが結婚相手になる可能性もあるってこと……?
 鼓動が速くなるのを感じながら、期待と不安で胸を抑える。
「でも、彩菜の結婚相手なら年が近い悠希くんがいいんじゃないかな」
「そうね。彩菜も小さなころから悠希くんに懐いていたし」
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