両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
「でも、結局彩菜ちゃんと結婚したんでしょう?」
「それは、きっとご両親に説得されたんだと思います」
「いくら両親から説得されたって、本当に好きな人がいたなら政略結婚なんて断わるでしょ。きっと専務の勘違いよ」
 萌絵さんは自信満々に言い切る。
 そうなんだろうか……。と考えていたとき、あたりがわずかに騒がしくなった。振り向くと翔真さんが入って来るのが見えた。
 背の高い翔真さんは、誰かを探すように食堂内を見渡していた。
 萌絵さんが、「あ、副社長だ。めずらしい」とつぶやく。
 萌絵さんの言う通り、副社長である翔真さんが社員食堂に姿を見せることはあまりない。
「しかも、社長までいる。相変わらずのイケメン親子で目の保養だわ~」
 翔真さんのうしろには社長であるお義父様の姿もあった。長身で精悍なふたりが揃うと色気と迫力が増す気がする。
 親子揃ってこんなに素敵だなんて。吉永家の遺伝子に感謝したくなる。
 心の中で手を合わせていると翔真さんが私に気付き優しい笑みを浮かべた。そしてふたりは私のところまでやってくる。
 目が合い立ち上がって頭を下げた。
「お疲れ様です」
「あぁ、彩菜ちゃん。立ち上がらなくていいよ。食事の邪魔をして悪いね」
 お義父様が穏やかに笑ってくれる。
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