両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
 どうして翔真さんは私と一緒にパーティーに出席するのを渋っていたんだろう。
「彩菜をパーティーに出席させなかったのは、彼女に余計な負担をかけたくなかったからです」
 翔真さんはお義母様に向かって穏やかに微笑み説明する。
「あら。独占欲じゃないのね。かわいい彩菜ちゃんをほかの男に取られないように、閉じ込めておくつもりなんだと思っていたわ」
「なにを言っているんですか。彩菜を束縛するようなことはしませんよ」
 翔真さんの言葉に、私もうなずく。
「そうですよ。翔真さんが私を束縛するわけないです」
「そう? じゃあ、ちょっと彩菜ちゃんを借りてもいいかしら」
 お義母様は私の腕に自分の腕を絡めた。
「え?」
 借りるって……?と戸惑いながらお義母様を見る。
「このパーティーには私のお友達も来ているから、かわいい娘を紹介したいのよ」
 無邪気に言うお義母様に、お義父様が優しい表情で微笑んだ。
「いいんじゃないか。どうせ私と翔真は仕事の話ばかりになるから、彩菜ちゃんも退屈だろう」
「ね? いいでしょう?」
 お義母様の笑顔に押され、翔真さんは息を吐き出し「わかりました」とうなずく。
「あまり彩菜を連れ回して、疲れさせないでくださいね」
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