両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
 丁重にお断りしようとしていると、翔真さんから『これも仕事のためだから、気にしなくていい』と言われた。
 ファッションの流行が数年で移り変わっていくように、建築物やインテリア、雑貨や食器、情報機器のデバイスなど、いろいろなものにその時代ごとに好まれるデザインがある。
 車の流行だけを追っていては感性の幅は広がらない。ジャンルにこだわらずいろいろな商品に触れ、センスを磨いておきたいんだと説明された。
 とくに女性もののファッションは変化が早くて勉強になるのだと。
 そのために、私を連れて買い物に行くのが一番効率がいいらしい。
「あくまで市場調査の一環で、ついでに私に服を買ってくれているみたいです」
「なるほど。彩菜ちゃんに気を使わせないために、そういう言い訳をしているわけね」
 萌絵さんは腕組みをしながらうんうんとうなずく。
「言い訳?」
「ちなみに彩菜ちゃんが着ているそのワンピース、一着いくらするか知ってる?」
「いつも私が値札を見る前に購入されちゃうんでわからないんですけど、着心地がいいし高そうですよね。ご……五万円とか?」
 予想金額を聞いて、萌絵さんは私から目をそらした。
「あー、もうちょっと高いかもしれない」
「もうちょっとって、どれくらいですか?」
 私の質問に、「うん。まぁ、彩菜ちゃんは知らないほうがいいかも」と言葉を濁す。そうやって誤魔化されると逆に気になる。
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