両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
「あるわけないです。私が好きなのは翔真さんだけですから」
 きっぱりと言い切られたけれど、まだ信じられない気分だった。
「本当に、俺が好き?」
 彩菜の顔をのぞきこみ、確認するようにたずねる。じっと見つめ続けると、彩菜の視線が下に落ちた。
「す、好きです……」
 彩菜はうつむきながら小さな声でそう言う。
「好きならどうして顔をそらすんだ?」
 思春期ならまだしも、大人になって結婚もした今、ここまで目をそらされる理由がわからず不思議に思う。
「だって、翔真さんがかっこよすぎて直視できません……!」
 彩菜は両手で顔を覆い、叫ぶように言った。
「大好きな翔真さんの顔を至近距離で見続けたら、理性が吹き飛んじゃいます……っ」
「俺の顔なんて見慣れてるだろ」
 首をかしげると、「見慣れるわけないじゃないですか!」と勢いよく反論された。
「翔真さんは自分のお顔の尊さを理解していないです! 私は毎朝顔を合わせるたびに心臓が止まりそうになってるんですよ。それじゃなくても、翔真さんが私を想っていてくれたって知って大パニックなんですから、ちょっと落ち着かせてください……!」
 彩菜は早口で言いじたばたと足を動かす。
 うれしさと驚きが自分の中で処理できないのか、かなりパニックになっているようだ。
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