両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
素敵すぎる旦那様

1 素敵すぎる旦那様

 吉永自動車の本社ビルには、豪華なショールームが併設されている。
 まるでアトリウムのように天井が高く開放的な造りで、自然光が差し込む広々としたスペースには何台もの車が並んでいた。
 外は夏の日差しに照らされ今日も暑いけれど、ショールームの中は適温に保たれていて快適な空間でゆっくりと車を見ることができる。
 そこにはカフェが併設されており、社員たちがミーティングをしたり、取引先との商談に使うこともできるスペースになっている。
 私はそんな場所で、雑誌の取材を受けていた。
「藤沢さん。車の横に立ってこっちを見てもらっていいですか?」
 その指示にうなずき、緊張しながらカメラのレンズを見る。
 場所やアングルを変えながら何パターンかの写真を撮ったあと、「はい、オッケーです」という声がしてこちらに向けられていたカメラが下ろされた。
「ありがとうございます。とても緊張しました」
 私はそう言いながら、ほっと胸をなでおろす。
「またまた。藤沢さんすごくカメラ慣れしていたし素敵でしたよ」
 そんなお世辞に「とんでもないです」と首を横に振る。
 さすがなのはカメラマンさんたちのほうだ。素人の私を褒めてリラックスさせて、楽しい雰囲気で撮影をしてくれた。
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