両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
「あぁ。悩ませて悪かった。彩菜に無理をさせたくなかったんだ」
「どういう意味ですか?」
「俺たちはお互いに好意を持っていたわけじゃなく、家の事情で結婚をした。そうだよね?」
 事実を確認するように問われ、「はい」とうなずく。
「だから、俺は彩菜が妻になってくれただけで十分だと思ってる」
「十分……」
「彩菜だって、好きでもない男に抱かれるのはいやだろ?」
 その言葉に、『好きでもないどころか、一緒にいるだけで冷静でいられなくなるほど大好きです!』と言い返したくなる。
 だけど、そんな重たい好意を押しつけられても迷惑だろうと必死に言葉を飲み込んだ。
 自分の気持ちを落ち着かせるために深呼吸をしたあと、「……そんなことないです」とうつむきながら答える。
「ほら、無理してる」
「し、してません」
「じゃあ、俺に抱かれたい?」
 直接的な問いかけに、頬が一気に熱くなった。きっと私の顔は真っ赤になっていると思う。
 ここで黙り込んだら、翔真さんは私を抱くことはないだろう。ちゃんと気持ちを伝えなきゃと勇気を振り絞る。
「だ、抱いてほしい、です」
 たどたどしい私の言葉に、翔真さんが驚いた表情を浮かべた。私が抱かれたがるなんて、予想外だったんだろう。
< 46 / 191 >

この作品をシェア

pagetop