両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
 翔真さんと一緒のベッドに入り『おやすみ』と挨拶をして腕枕してもらいながら寝たり、朝起きて目を覚ましたら翔真さんの美しい寝顔がすぐ横にあったり……。
 そう考えた私は、思わず「無理っ!」と悲鳴を上げた。
「そんな幸せな生活を送っていたら興奮と緊張で一睡もできないし、ドキドキしすぎて寿命が縮んじゃう!!」
「彩菜はほんと兄貴が好きだよなぁ。俺だってそこそこいい男なのに見向きもしてくれないし」
「だって、翔真さんは優しくてかっこよくて紳士で完璧だもん。悠希と比べるまでもないよ」
 悠希みたいな意地悪でちょっと悪い男に惹かれる女性もいるんだろうけど、私は絶対に翔真さんがいい。
 きっぱりと言い切る私を見て、悠希はあきれたように笑った。
「彩菜が兄貴に惚れたのって、剣道の大会のときだろ。あれから十年以上ずっと気持ちが変わらないってすごいよな」
 そう言い当てられ、「な、なんで……?」と動揺しながら悠希を見た。
「お前わかりやすいもん。あの試合、彩菜の隣で一緒に見てたじゃん。決勝が終わって面を取った兄貴が観客席を見上げて、彩菜に向かって『勝ったよ』って口の動きだけで言ったとき、お前完全におちただろ」
 そのときのことを思い出すと、今でも鼓動が速くなる。
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