両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
「私のお父さんがいいお魚をもらったから、翔真さんのご実家で板前さんを呼んで調理してもらうんだって」
 父は有名な日本画家なので、熱心な支援者から贈り物をされることが多い。美術品やお酒が多いけれど、ときどき立派なマグロや和牛の大きなかたまり肉など、おどろくようなプレゼントが届くこともある。
 夫婦ふたりで食べきれないときは、こうやって翔真さんのご両親に声をかけ食事会をするのだ。
「うちの親と彩菜のおじさんたち、相変わらず仲いいよなぁ」
「悠希もせっかく帰国してるんだから、顔を出せばいい」
 翔真さんがそう言うと、とたんに悠希が顔をしかめる。
「え。絶対やだ」
 即答で断った悠希に、「どうして?」とたずねる。
「だって、俺が行ったらあれこれ説教されるに決まってるじゃん。面倒くさい」
「お説教されるようなことをしている悠希が悪いんじゃないの?」
「うるさいなぁ。頼むから、俺が帰って来てるのは黙っててくれよ」
「黙ってるかわりになにしてくれる?」
 冗談半分でそんな交換条件を出してみる。悠希は少し考えた後、「じゃあ」と口を開いた。
「黙っててくれたら、兄貴の秘密をひとつ教えてやるよ」
「え? 翔真さんの秘密?」
 興味を引かれ身を乗り出す。
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