魔法の手~上司の彼には大きな秘密がありました!身も心も癒されたい~
「フルール・ド・リスがですか?!」

東館に呼び出された私は席に座るより先に大きな声を発してしまった。

「そうなのよ。急なんだけど」

藍沢チーフからの話はフルール・ド・リスが西館新規店舗に名乗りを上げたいと言う話。

「宝飾とコスメを西館にって…東館はファッションのみだから。話題性はあるんだけど、どうする?」

受けたい気持ちは山々だが「上とも相談します」と一度持ち帰る方向にした。

「藤堂課長とおめでとう」

東館事務所を出る時に藍沢チーフに言われ私は「噂は東館まで」と苦笑いしか出来ず書類を預かり一度西館へ。

人の噂も七十五日…我慢。
それよりも…

「フルール・ド・リスがうちに…か」

確かに話題性は両方にある。
改装した店舗への出店のフルール・ド・リスと国内数店舗に仲間入り出来る西館。

(やっぱり聞いてみよう)

スーツのポケットから携帯を取り出しメールをして残業を避ける為にも事務所へ急いだ。



「おかえり」
「ただいま」

帰宅した彼は嬉しそうに「これ良いな。夫婦みたいで」と笑う。

「早く部屋に入って」

「また何かあったのかよ」

誕生日プレゼントとして合鍵を貰った矢先にこの顔の私が待ってれば眉間にシワも寄るだろう。

「円生こっちに来て」

ソファに座り両手を広げてる彼の隣に座った。

「ホントお前冷たいよな」

それでもめげないのが彼でそれに惑わされないのが私。

めげない彼は広げた手を私の肩に回して指圧を加えようとする。

「フルール・ド・リス」

私の言葉に指はピタリと止まった。

「西館の新規店舗として名乗りを上げて来たの。何か手を回したりした?」

隠す必要も無いから一気に詰め寄ってみる。

「するわけないだろ。そんな事したら絶対円生に殺される」

「そこまではしないけど」

本当の気持ちは…

少しだけ?ほんのちょっと?懲らしめるだけ。

「彼女の事知ってるんだよね?」

「知ってるよ。高校時代の後輩で元カノ」

そうだろうね。
腕組んでショップに入って行くとこ見たくらいですから。

「堂々たる態度ね」
「それが俺」

「そう」と返事はしたけど私の首筋に触れる指先の変化を私は見逃さなかった。

(彼女を皆んなは奥さんだと勘違いしてた)

元カノくらいでそんな誤解されるだろうか?
長年施術を受けた彼の指が変化したのも気になった。
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