魔法の手~上司の彼には大きな秘密がありました!身も心も癒されたい~
散々愛され乱された私は彼の腕の中で大人しく甘い声に耳を傾ける。

「入社してすぐ女達の嫌がらせが多くて。付きまとわれるしあげくに家まで押し掛けられて」

入社直後からのモテ話は苦労が多かったらしくため息を吐く彼は「お前の元上司に指輪しとけって言い出したんだよ」と私の首筋を優しく指圧する。

元凶は久峰元課長なのか…

「モテる男も大変だね」

モテた覚えがない私には他人事でしかない。

「まさか指輪がネックで2年も無駄にした」

そう言ってまだ愛し足りないと私を全部知る彼は首筋の指を下に這わせて耳にキスを落とす。

「私は騙された気分」

這わせてくる指がくすぐったいくて笑いそうになるのを我慢する。

「お前が俺を好きになるようにマッサージした」

「そんなマッサージなんてあるわけないじゃない」

職場での彼ではなく藤乃屋での彼を知る事が多い。

そこで彼を好きになったんだから“身も心も落とされた”と言ってもおかしくない。

あながち…呪い、いや気持ちを込めらたのかも。

「寝ぼけた円生にマーキングしても合コン行くもんな」

フットマッサージの後かすかに唇に感じたのは…

「ねぇ、寝込みを」
「襲った。可愛くて」
「可愛いって…」

普通にセクハラ行為を彼はクスクスと笑って誤魔化すけど私は怒るより照れてしまう。

「そう言えば何で合コンの場所が分かったの?」

まだ緩みそうにない腕にまとわりつくと彼はくすぐったいのか力を強めてくる。

「円生の所の女の子に相原から電話させて場所を聞かせた」

相原は主任の名前。
主任も使わうって…

「主任、可哀想…」

ボソッと呟くと「そんな話良いだろ?」と耳元で囁かれて私がくすぐったくて身をよじる私に、

「円生」

と呟くように囁くように言って唇を再度奪う。

「もっと呼んで」

そう言って優しい唇を奪い返した。


✼✼✼


「本当にびっくりしたんですよ!!」

「本当に申し訳ない」

鈴ちゃんに私の長年の片思いの話を全てぶっちゃけて色々迷惑をかけたお詫びに外でランチを奢る事に。

「あの後受付の女の子達大変なパニックで」

「まさか指輪がただの女性避けなんて思わなくて」

昨晩…

「円生、これ何ゴミ?」

「捨てるの?」

「要らないからな」と鼻歌まじりにポイッとゴミ箱の中に捨てるのを見た。
今となれば思い出の品として回収したくなっている。

「それってやっすい指輪だったんですか?」

鈴ちゃんには「安いのじゃないかな?」とは言ったけど実際はプラチナだった。

その高い指輪を選んだ理由も…

「指輪?何がどう良いのか分かんなくて言われたのを買った」

適当に他のデパートの宝飾店で購入したらしい。

適当過ぎて“高い指輪”だったなんて言えず苦笑いを浮かべた。

「2年もお互い片思いして…通じあえたなんてホント純愛!」

(純愛ね…)

鈴ちゃんは目を輝かせてるけどまだ謎は残ってる。

ーーフルール・ド・リスのお嬢様

親しげな感じ。
私がヤキモチで思ってるくらいなら良いけど…
変なとこで“女の勘”が働いてしまう。

「チーフ!聞いてます?」

「あぁ、ごめんごめん!で…何?」

「もう!」と笑う鈴ちゃんは周りを見渡して来い来いと手で私の顔を寄せて耳打ちして来た。

「課長めっちゃ人気あるから…視線痛いですね」

鈴ちゃんも分かるくらいの視線と何か言ってる感じの行動。

「さすがに既婚者じゃなかったのはバレたみたいですね〜」

「うーん…そうね」

あの合コンでの経緯後、人事部に連絡が殺到したらしくどこからか個人情報が漏れたと怒った彼からメールが届いた。

「指輪やっぱりして貰おうかな…」

「今嵌めたらチーフと結婚したと勘違いされますよ?」

「そ…それは困る」

外ランチを済ませ西館に戻るとヒソヒソ。
エレベーターに乗ればヒソヒソ。

事務所ではヒソヒソでは無く、

「良く藤堂を捕まえたなぁ〜!あいつ結婚してると思ってたが…あっ、これセクハラか?」

ガハハッと笑う西館の部長。
付き合いも長いからセクハラとか思いません。

(こう言う事か…)

指輪もそりゃしたくなりますよ。
普通に噂されるだけで疲れるのにこれでストーカーされてたらと思うとゾッとする。

「チーフ、東館チーフから連絡有りました」

「分かりました。連絡してみます」

藍沢チーフに感謝!!
背中を叩いて喜ぶ部長から解放された。
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