鏡と前世と夜桜の恋
二人の間に、静かな時間が流れていく。
窓から差し込む月明かりが、二人の重なる影を落とす… 雪美は咲夜の胸に頬を寄せたまま、しばらく動かなかった。
「… さく」
「ん?」
「もっと… 」
その声があまりにも妖艶で咲夜は雪美の背へ腕を回した。
「いくらでも」
ぎゅっと抱き締める。
離すつもりなど最初からなかった。雪美も咲夜の着物を小さな指で掴み、胸元へ顔を埋める。
「幸せ… 」
その言葉を聞いた瞬間、咲夜の胸に熱いものが込み上げた。
「… そんなこと言うなよ」
「どうして?」
「もっともっと欲しくなる」
咲夜は雪美の髪を撫でながら、苦しそうに笑った。
「もっと傍にいてほしい、もっと俺だけを見てほしい… 誰にも渡したくなくなる」
普段の余裕など、もうどこにもなかった。
雪美が自分の腕の中にいる、その事実だけでも嬉しいはずなのに、それ以上を望んでしまう。
「ゆき」
顔を上げさせ、額を合わせる。
「俺だけを見て!」
「… 見てるよ」
「本当に?」
「うん」
「なら… もう一度言って」
雪美は少し恥ずかしそうに微笑んだ。
「私は、さくが好き」
その瞬間、咲夜は堪えきれなくなったように雪美を抱き寄せ何度も口づけた。
額へ。
頬へ。
そして、そっと唇へ。
最初は優しく… 次第に互いの想いが溢れ出すように深くなる。
雪美の瞳が潤む。
「… さく」
「ん?」
「大好き」
その一言に、咲夜は目を閉じた。
「… 俺もだ」
腕に力がこもる。
まるで、このまま雪美を自分の中へ隠してしまいたいかのように。
「誰にも見せたくない」
「ふふっ」
「わ、笑うな//」
「だって、さくが可愛いから… 」