鏡と前世と夜桜の恋
それを咲夜に伝えていいのか、伝えたらこの人はどうするのだろう。喜んでくれるのか。
それとも――。
「… ゆき?」
黙り込んだ雪美を見て、咲夜はさらに心配そうな顔をした。
「何かあったのか?」
雪美は目を伏せた。
そして、ゆっくりと息を吸った。
もう隠してはいられない。
「… さく」
「ん?」
「話したいことがあるの」
咲夜は黙って雪美を見つめた。
雪美は震える手を、自分のお腹へそっと添え、そしてようやく口にした。
「さくの子が、お腹にいるの… 」
一瞬。
森の音さえ消えたようだった。
咲夜は何も言わなかった。
雪美は不安になり、そっと顔を上げる。
すると――。
咲夜は、ふっと笑った。
「… やっぱり」
「え?」
「分かってたよ」
雪美が目を丸くする。
咲夜は少し照れくさそうに笑った。
「欲しかったから… いつもそうしてたし」
そして、雪美の腹へ視線を落とす。
「そしたらゆきの腹、日に日に大きくなるから… 」
「… え、は!?なんで!?」
「ゆきのことなら何でも分かる。抱く時も、腹を見たら分かるよ。気付かなかった?いつ、ゆきから切り出してくれるのかなって、ずっと待ってた」
咲夜の声はとても穏やかで、嬉しくて仕方がない… そんな気持ちが隠しきれないほど顔に出ている。
「ほら、もし俺の子じゃなかったら、俺から言うのも恥ずかしいし… 」
そう言いながら照れくさそうに笑う。