鏡と前世と夜桜の恋

「政条家の人間として、1人の男として玩具にし、一度俺を殺したのにか?」

蓮稀の冷淡な口調に申又の顔が強張った。

「… 申又、お前が雪美にしてきたことも言い逃れはできないぞ」

蓮稀の手には幾つもの証拠があった。

「お前達を正式に裁く為の必要なものは全て揃っている」


「お前達の極悪非道な行為… 横領に暴行、無実の弱者を消したり玩具にする為に行った数々の悪事や揉み消したこともな」

藤川の顔も、一気に青ざめる。

「そ、それは…!!!」

「黙れ」

たった一言。

それだけで、藤川は悔しそうに口を閉ざした。

蓮稀は真っ直ぐ見据えた。



「ま、待ってくれ… 」

申又の声が震える。

「蓮稀… 話し合えば――」

「お前達と話すことはない」

蓮稀は冷たく言い放った。

「お前達が俺や鈴香にしたことも、雪美にしたことも、咲夜にしたことも… 」

一瞬だけ、蓮稀の瞳に深い悲しみが宿った。

「絶対に許さない」



その言葉に、屋敷の空気が凍りついた。

だが――。

「… ふふ」

ずっと黙っていた陽菜が、蓮稀を見て突然笑った。

「あははははっ… 」

誰もが陽菜を見た。



「なんで咲夜さんの兄が居るの? 蓮稀さんが死ねば良かったのに… なんで死んだのは咲夜さんなの?」



「なんで蓮稀さんじゃないの!!!」



「違うわ陽菜、あの子が悪いの… 村全体が嘘をついてるの、私を陥れる為に… そうに決まってる… 」

陽菜は自分の髪を掴みながら、ぶつぶつと呟く。

「憎い憎い憎い… あの子を消したら咲夜さんは戻ってくる、ゆきちゃんを… 」

「殺す… 殺す… 殺… 」

陽菜の口元は、笑みすら浮かんでいた。

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