鏡と前世と夜桜の恋

その知らせが政条家、そして蓮稀に届いたのは、夕刻のことであった… 庭先では、桜の花びらが風に舞っていた。

蓮稀は知らせを受け取ると、静かに目を閉じた。

「… もうすぐ全てが終わるのだな」






その声に、長い年月の苦しみが滲んでいた。隣に居た雪美は、両手を胸の前で握りしめていた。


目に涙を浮かべる雪美を見た蓮稀は優しく微笑み向き直り、そっとその肩に手を置いた。

「あの者達に奪われた命が報われるかどうかは分からぬ。ただ、もう誰一人と苦しまなくて良いように… あの一族の残虐な行いは決して闇に葬らせはしない」

雪美の瞳から一筋の涙がこぼれ落ちた。

「… うん」


蓮稀は空を見上げた。



咲夜、鈴香――
そしてあの一族の欲や我儘、気に食わないと言うだけの理由だけで失われたたくさんの命。

取り戻せないものはあまりにも多い。

… それでも、裁きは下された。

夜の帳が降り始めるなか、蓮稀は静かに呟いた。


「どうか、安らかに眠ってくれ… 」


どれだけ我慢したか…

どれだけ苦しんだか…


あの一族は権力や相手の大切な人を人質に取り、ずる賢く残虐な方法でそれぞれの人の未来を奪った。

桜の花びらが、二人の足元をそっと通り過ぎ、長く続いた因縁が… ようやく終わりを迎えようとしていた。

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