鏡と前世と夜桜の恋

朝の空気は冷たかった。

遠くから町の生活の音が聞こえてくる。

商家の戸を開ける音。 荷を運ぶ人足の掛け声。 朝餉の支度をする人々の声。

誰かにとっては、何でもない一日の始まり… だが、四人にとっては全ての終わり。







おすずは、最後まで何かを訴え、陽菜は泣きながら何度も弟の名を呼んだ。


申又は、もはや陽菜の声に応えることもできず、ただ足元を見つめていた。

藤川は、役人たちに促されながらも、最後まで顔を上げていた。

… やがて、刑場に到着し、四人はそれぞれ所定の場所へ連れていかれた。

役人が罪状を読み上げる。

その声が、静まり返った空気の中に響き渡った。

弱者に加えられた残虐な仕打ち、隠されていた悪事、人の命を軽んじた企み。

それらが、改めて公の場で読み上げられる。

おすずは、途中から声を失い、陽菜は泣き崩れ、申又は唇を噛みしめる、藤川の顔からも、ついに笑みが消えた。

最後に役人が告げた。



「これより、死罪を執行する」


その言葉が落ちた瞬間、陽菜が叫んだ。

「嫌ぁぁっ!絶対嫌!まだ死にたくない!咲夜さんと離れたくない、あの子を殺さないと… やだあ、咲夜さん、咲夜さん、咲夜さん… 」

おすずもまた、声を張り上げた。

「ま、待て!待っておくれ!もう二度としない!頼む、頼むから今回のことは… 」


申又は目を閉じ震える息を吐き、藤川は、最後の瞬間まで何かを言おうとしたが、その言葉が誰かに届くことはなかった。

刑が執行された。

一人、また一人… 四人の命はそこで尽きた。

刑場に、再び静寂が戻る。

役人たちは定められた手続きを進め、四人の死罪が執行されたことを記録に残された。
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