鏡と前世と夜桜の恋

やがて、朝の光が刑場を照らし始めた。


その光は、誰に対しても等しく降り注いでいた。

罪を犯した者にも。 罪を暴いた者にも。 失われた命を悼む者にも。

そして、全ての無念を晴らすために動いた蓮稀にも…

その頃、蓮稀は静かに空を見上げていた。


すべてが終わったと聞かされても、胸の内が晴れるわけではなかった。

鈴香はもう戻らない。

咲夜も… 奪われたものは二度と戻らない。


ただ、これ以上、誰かが同じ苦しみを味わわずに済むのなら… そう思うことだけが、蓮稀に唯一できることだった。


人々はやがて四人の死罪を噂し、善悪を語り、時が経てば別の話題へと移っていくのだろう。

あの一家の欲によって隠蔽されたり、失った者たちの苦しみも悲しみも、奪われた者の心の傷も、簡単に消えるものではない。



死罪によって終わったことは、極悪非道の四人の命だけ。

残された者たちの人生はこれからも続いていく、人は皆、過去は過去と無理に流し、どれだけやりたい放題されているとしても自分が出来ることをして生きていく。

亡き者たちの記憶も苦しみも悲しみも変わらず胸に抱きながら…


< 326 / 343 >

この作品をシェア

pagetop