甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る
後を追ってくる高山チーフ。
「高山チーフ、おやすみなさい」
「おやすみって、帰るのかよ」
「帰ります」
「何言ってんだ?あんなキスしておいて帰るとか」
背後から、腑に落ちない物言いに一歩二歩と歩いてから振り返る。
「キスしてきたのは、高山チーフですよ。今のいい方だと、まるで私からしたみたいじゃないですか⁈それに食べたいってなんですか?」
「そのままの意味だ。隣で美味そうな唇が誘ってるんだ。食べたくなるだろ」
「はぁ⁈誘ってるって、欲求不満なんですか?そこら辺に立ってたら声かかりますよ。楽しい週末をお過ごしください」
「あぁ…いい加減、欲求不満でおかしくなりそうだよ。もう、その唇を味わったら止められない。他なんていらないんだよ。なんでキスしたか気づけ」
そういうなり、人通りのある歩道だというのに、腰ごと抱き抱えられて、また、唇を許してしまった。
私達の周りでは、きゃーと響く声の野次馬が集まっていく。
キスが解かれても、顔をあげれない私を胸に抱きしめて、頭部にキスしてくる高山チーフのサービスに、また、甲高い声が響くのだ。
「お騒がせしてすみません。仲直りできました」