甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る
「これあるので大丈夫です」
見せたのは、昨日買ってもらったピーチティーだ。
「そのピーチティー、昨日のだろ」
「はい」
「言ってくれれば新しいの買って来るのに」
「えー、折角買ってくれたのに、勿体ないですよ」
「…皿、洗ってくるわ」
「はい、お願いします。ご馳走さまでした」
なぜか鼻歌で歌いながら高山チーフは、洗い物を始めた。
食後の一服なのか、ポケットからタバコをだして換気扇の下で火をつける。
電子タバコじゃないのが、彼らしい。
その間に、ケトルで沸かしたお湯が沸き、加えタバコでドリップコーヒーを入れる姿は、絵になるほど、かっこいい。
スマホに朱音さんからの返信が返ってくる。
『昨日はごめんね。支払いは社長なのよ。お金を持ってる人が出したんだから、遠慮なく奢って貰おう。ところで、帰り、大丈夫だった?高山に襲われてない?」
ドキリとし、ちらりと高山チーフを見てしまった。
「なんだよ?」
「あっ、いえ。朱音さんとメール中で」
『何もなかったですよ』
すぐに返ってきた。
『何かあったのね。月曜日、話聞くからね」
聡い朱音さんには、隠し事は通用しないらしい。
ここで、何もなかったと強調しても、無理だろうなと、手を振る可愛いイラストのスタンプをおくる。