紫苑くんとヒミツの課外授業
車に乗ってからずっと一人でブツブツ言っていた聖来が、私のほうを見る。
「咲来ちゃんのことだから、わたしの見えないところで勉強を頑張ってたってことだよね」
「聖来?」
「認めたくないけど……やっぱり咲来ちゃんは凄い。さすが、わたしのお姉ちゃんだわ。やるじゃない」
少し上から目線だけど、そんなところもまた聖来らしくて。
「ふふっ」
私は、思わず声を出して笑ってしまう。
「なっ、何よ。どうせ咲来ちゃん、ざまぁみろとか思ってるんじゃないの!?」
「そんなこと、思う訳ないじゃない」
「は!?」
聖来が、ムッとした表情になる。
「咲来ちゃんはいつもそう。いい子ぶってるっていうか。わたしがどれだけ嫌なことを言っても、同じように言い返してくることは一度もなくて。そういうところが、逆に見ててムカつくの。だから、つい嫌なことばかり言ってしまってた」
「そりゃあ妹にバカにされて、腹が立つときも沢山あったよ。聖来は人としてバカだし、性格も本当にブスだなって思うときもあった」
「ちょっ、咲来ちゃんひどい!」
聖来が、目に涙を浮かべる。