乳房星(たらちねぼし)−1・0
第13話・愛が止まらない

【プロポーズ】

時は、夕方6時半頃であった。

またところ変わって、新宮市《なんきしんぐう》の福也《さちや》さんの実家の大広間にて…

家の大広間に章弘一恵夫婦《あきひろかずえ》と日菜《ひな》の3人とキンリンで暮らしている30代後半の男性(市役所職員)がいた。

男性は、職場のデスクにケータイを置いて帰ったのでひどく困っていた。

この時、日菜《ひな》は同じ地区で暮らしている27歳の女性(JA職員)にが男性のケータイを取りに行ってほしいと頼んだ。

男性は、市役所にケータイを取りに行った男性が帰るまで大広間で待っていた。

日菜《ひな》は、右腕につけている腕時計をヒンパンに見ながらつぶやいた。

大丈夫かな…

よりみちをせずにここにたどり着くことができるだろうか…

さて、その頃であった。

またところ変わって、市道大阪環状線《しどうかんじょうせん》沿いの歩道にて…

ゆきさんは、ふらついた足取りで歩道を歩いていた。

この時であった。

福也《さちや》さんが忘れて行った二つ折りを届けるために大阪《ここ》に来たかずこが通りかかった。

かずこはものすごくあせった表情で目的地へ向かっていた。

早く福也《さちや》くんに届けなきゃ…

福也《さちや》くん…

ケータイがないと言うて困っている…

急がないと…

この時であった。

(ドスン!!)

かずこは、ゆきさんとぶつかった。

「ああ!!ごめんなさい!!」

ぶつけられたゆきさんは、キョトンとした表情で『えっ?』と言うた。

この時、かずこはぶつかったはずみで二つ折りを落とした。

かずこは、大急ぎで二つ折りをひろった。

この時、二つ折りの画面に大きなヒビが入ったと同時に作動しなくなった。

かずこは、泣きそうな声で言うた。

「ああ!!どうしょう〜…福也《さちや》くんが大事にしていたケータイが壊れてしまった〜」

えっ…

どうしたのよ?

ゆきさんは、ぼんやりとした表情でつぶやいた。

かずこは、泣きそうな声でゆきさんに言うた。

「すみません…福也《さちや》くんが大事にしていたケータイを壊したので…うちの代わりに…『ケータイこわしてすみませんでした…』と伝えていただけますか?…うち…恐いのです…お願いします。」

かずこは、大急ぎでその場から逃げ出した。

ゆきさんは、ぼんやりとした表情でかずこの背中を見送った。

またところ変わって、大阪市中央区城見《おおさかちゅうおうくしろみ》にあるテレビ局にて…

私は、日曜日昼のディベート番組の大量収録に出演中であった。

A班のメンバーたちとドナ姐《ねえ》はんは、楽屋で待機していた。

楽屋で待機中もお仕事をつづけた。

その頃であった。

B班のメンバーたちは、メイン事業の運営と私のオルドビス作り…

C班のメンバーたちは、プレタ…

D班のメンバーたちは、フーヅ…

…のお仕事に取り組んでいた。

話しは替わって…

A班のメンバーたちとドナ姐《ねえ》はんは、出演者さまたちが食べている仕出し弁当で夕食を摂っていた。

福也《さちや》さんは、夕食を終えたあと順子《よりこ》さんと一緒にギャラクシー(アンドロイドスマホ)にイヤホンをつけた状態でユーチューブを見ていた。

スマホの画面には、KARA(カラ・KーPOP)が歌っている新曲のミュージックビデオが映っていた。

イナ姐《ねえ》はんは、ラブラブモードの福也《さちや》さんと順子《よりこ》さんをちらっと見たあとつらそうな表情を浮かべながらつぶやいた。

福也《さちや》さんと順子《よりこ》さんはしあわせイッパイでいいわね…

なんでよーくんには…

お嫁さんがいないのかな…

この時、仕出し弁当を食べ終えたドナ姐《ねえ》はんがイナ姐《ねえ》はんに声をかけた。

「イナ姐《ねえ》ちゃん。」
「なあにドナ。」
「なんでつらそうな表情を浮かべているのよ?」
「ああ…」

イナ姐《ねえ》はんは、つらそうな表情でドナ姐《ねえ》はんに言うた。

「ドナ。」
「何よぅ~」
「福也《さちや》さんと順子《よりこ》さんは…お似合いね。」
「イナ姐《ねえ》ちゃん、やめてよ!!」
「なんでよーくんにはお嫁さんがいないのかな~」
「またその話し…やめてよ!!」

ドナ姐《ねえ》はんは、ペットボトルのサントリー伊右衛門(緑茶)をひとくちのんでからイナ姐《ねえ》はんに言うた。

「よーくんのお嫁さんを選ぶ権利はジナ姐《ねえ》ちゃんたち(B班のメンバーたち)にあるのよ!!」

イナ姐《ねえ》はんは、つらそうな表情で言うた。

「だけど…やっぱりよーくん自身で相手《おあいて》を選ばせた方がいいと思うけど…」

ドナ姐《ねえ》はんは、怒った声でイナ姐《ねえ》はんに言うた。

「イナ姐《ねえ》ちゃん!!やめてよ!!」
「ドナ〜」
「よーくんのお見合いの日取りが決まったらジナ姐《ねえ》ちゃんが知らせてくれるのよ!!」
「分かってるわよ〜…だけど…この先、超多忙な日々がつづくのよ…よーくんに好きなコができた時…どうやってデートの日取りを決めるのよ…」
「よーくんと女の子のデートのセッティングもジナ姐《ねえ》ちゃんたちがするのよ!!」
「それで大丈夫なの?」
「イナ姐《ねえ》ちゃんは、なにを心配しているのよ!?」
「デートする場所は…」
「よーくんと女の子がデートする場所は始めから決まっているのよ!!」
「そうなの?」
「映画館で一つの作品をふたりで一緒に鑑賞する…スタバで同じスイーツを召し上がる…ショッピングモールで同じ好みの品物を買う…のデートをしたいとよーくんは思っているけど…スケジュールの関係で…できないのよ!!」
「それじゃあ、挙式披露宴の日取りはどうするのよ?」
「披露宴は挙げないわよ!!」
「どうしてよ〜」
「よーくんのスケジュールの関係でできないのよ!!」
「それじゃあ、よーくんがかわいそうよ〜」
「イナ姐《ねえ》ちゃん!!」

イナ姐《ねえ》はんとドナ姐《ねえ》はんが言いあっていた時に、夕方6時の回の収録が終了する5分前になった。

ゆかさんは、お医者さんかばんを手にしたあと福也《さちや》さんと順子《よりこ》さんに声をかけた。

「福也《さちや》さん!!」
「はい。」
「ディレクターチェアの用意をして…順子《よりこ》さん!!急いでスタジオへ行く準備しなさい!!」

このあと、福也《さちや》さんと順子《よりこ》さんはゆかさんと一緒にスタジオへ行く準備を始めた。

それから5分後にゆかさんと福也《さちや》さんと順子《よりこ》さんは、楽屋から出た。

ゆりさんは、白衣を着たあとお医者さんかばんを持って楽屋から出た。

風香《フー》ちゃんは、コーヒーをいれる道具を持って楽屋から出た。
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