乳房星(たらちねぼし)−1・0

【松山慕情】

(ブロロロロ…)

時は、深夜2時50分頃であった。

八幡浜港《やわたはま》でフェリーを降りた私は、ヒッチハイクした長距離トラックに乗って再び旅に出た。

トラックは、国道378号線のゴゼトンネルを通り抜けたあと長浜(大洲市)〜双海《ふたみ》(伊予市)〜伊予市中心地〜県道伊予松山港線〜県道松山空港線を通って松山市内《しないちゅうしんぶ》へ向かった。

深夜4時半頃であった。

トラックは、国道11号線と33号線がクロスする小坂交差点《こうさてん》に到着した。

トラックから降りた私は、ショルダーバッグを持って松山環状線を歩いて道後方面へ向かった。

道後温泉街《おんせんがい》に到着したのは、明け方5時50分頃であった。

またところ変わって、ドナ姐《ねえ》はんが経営している置屋にて…

置屋の中に夜の仕事《おつとめ》を終えて帰ってきた芸姑《げいこ》はんたちとコンパニオンさんたちがたくさんいた。

通りのスピーカーからラブサントスの歌で『松山慕情』が聞こえていた。

この時、ショルダーバッグを持っている私が置屋にやって来た。

私は、置屋にいるコンパニオンさんに声をかけた。

「あの、すみません。」
「あらぼうや、どうしたの?」
「ドナ姐《ねえ》はんは、ここにいますか?」
「姐《ねえ》はん?…姐《ねえ》さんはきのうからたびに出たよ。」
「旅に出たって?…あの…どちらへ行ったか分かりますか?」
「どこだったかな…ああ、京都へ行ったみたいよ。」
「京都…」

コンパニオンさんから話を聞いた私は、すぐに出発した。

(ピーッ、ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)

時は、10月7日の朝8時過ぎだった。

私は、道後温泉駅から路面電車《トラム》に乗って松山市駅《しえき》へ向かった。

松山市駅《しえき》で路面電車《トラム》を降りたあと、いよてつ高浜線の電車に乗り換えて高浜方面へ向かった。

いよてつ高浜駅で電車を降りたあと、歩いて松山観光港《かんこうこう》へ向かった。

(ボーッ、ボーッ、ボーッ、ボーッ…)

時は、正午過ぎであった。

石崎汽船のフェリーが汽笛を鳴らしながら松山観光港《みなと》から出航した。

フェリーの甲板《デッキ》にて…

甲板《デッキ》にいる私は、港の風景を見つめながら山丹正宗《やまたん》の酒《ワンカップ》をのんでいた。

ドナ姐《ねえ》はんに会いたい…

今、私が頼ることができるのはドナ姐《ねえ》はんしかいない…

早く見つけないと…

(ピーッ、ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)

時は、午後3時頃であった。

私は、呉港《くれ》でフェリーを降りたあと呉駅《えき》まで歩いた。

その後、呉駅《えき》からJR呉線の電車に乗って東へ向かった。

夕方4時半頃に三原駅に到着した。

三原駅で電車を降りた私は、改札口を通って外へ出た。

ところ変わって、三原港《さんばし》のすぐ近くにあるジャスコ(イオン)にて…

私は、今夜食べる分の購入した。

今夜のごはんは、大盛りソース焼きそばとマカロニ・パスタ・ポテトの三種類サラダと肉ぎょうざ12個である。

惣菜3種とトップバリューの500ミリリットルの缶ビール2本を購入したあと、レジで精算をした。

その後、また駅へ戻った。

(ピーッ、ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)

時は、夕方6時半頃であった。

私は、JR山陽本線《さんようせん》の電車に乗って東へ向かった。

夜7時20分頃であった。

電車が岡山駅に到着した。

電車を降りた私は、改札口を通って駅の外へ出た。

つかれた…

今夜は、どこへ泊まろうかな…
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