乳房星(たらちねぼし)−1・0

【銃爪(ひきがね)】

時は、7時半頃であった。

大番頭《おおばんと》はんの家の特大広間にイワマツグループの全メンバーたちとゆらさんといとと哲人《てつと》とまきとたくみ夫婦と奈保子《なおこ》さんと公則《まさのり》が集まっていた。

テーブルの上には、奈保子《なおこ》さんが作った晩ごはんがならんでいた。

今夜の晩ごはんは、アジの塩焼きといもとかぼちゃの煮物ときんぴらごぼうとほうれん草のおひたしと白ごはんとみそ汁が並んでいた。

テーブルの真ん中には、たくあんがたくさん盛られている大皿が置かれていた。

みんながゆっくりと食べているのに、ゆらさんはパクパクパクパクと食べていた。

この時、哲人《てつと》と公則《まさのり》のふたりはごはんを食べていなかった。

ゆらさんは、ものすごく困った声で哲人《てつと》と公則《まさのり》に声をかけた。

「あれ、ふたりとも食べていないわね…どないしたん?…具合でも悪いの?」

ゆらさんの問いに対して、ふたりは答えなかった。

まきは、優しい声でふたりに言うた。

「ふたりともどうしたの?ごはん冷えるよ…」

まきの呼びかけに対して、ふたりは答えなかった。

ゆらさんは、優しい声でふたりに言うた。

「きょうは、奈保子さんがおいしい晩ごはんを作ってくださったのよ…この中でおいしいのは…ああ、奈保子さんが料理教室でおぼえたいもとかぼちゃの煮物かな…」

まきは、うれしい声で『奈保子さんが作ってくださった煮物はおいしいね。』と言うた。

この時、たくみは『奈保子さんおかわり〜』と言うてお茶わんを差し出した。

奈保子さんは、おかわりの白ごはんが盛られているお茶わんをたくみに渡した。

ゆらさんは、過度に優しい声で哲人《てつと》に言うた。

「哲人《てつと》。」
「なんだよぅ〜」
「おかわりしようよ〜…ほら、『奈保子さん、おかわりください~』と言うて…」

この時、ゆかさんが思い切りブチ切れた。

「ゆら!!」
「なんやねんゆかねーちゃん〜」
「いらないことをしないでよね!!」
「いらんことしてへん…うちは哲人《てつと》がごはん食べれんといよるけん、ごはん食べようと言うただけやねん〜」
「それがいらんことしよるといよんよ!!」
「ほなどないしたらええねん!!」
「ふざけるな!!」
「ゆか!!やめなよ!!」

この時、ゆかさんの近くに座っているゆりさんがゆかさんを止めた。

しかし、ゆかさんは思い切りブチ切れていた。

「おねーちゃん!!うちはゆらがデリカシーのないことをしたから注意しただけよ!!」
「分かってるわよ…あんたは頭に血が昇ったらカーとなりやすいから落ち着いてよ!!」

ゆりさんは、ゆかさんをなだめたあとゆらさんに言うた。

「ゆら!!」
「ゆりおねーちゃん〜」
「あんたもいかんところがあるのよ!!」
「うちは、哲人《てつと》にごはん食べようと言うただけやねん〜」
「あんたはいつから保母さんになったのよ!?」
「ゆりおねーちゃんもなんやねん!!」

たまりかねたいとが怒った声で言うた。

「ちょっとあんたたち!!ごはん食べている時にケンカしられん!!」

ゆらさんは、泣きそうな声で言うた。

「なんやねんもう…うちしんどいねん〜」

この時、ゆかさんがものすごく怒った声でゆらさんを怒鳴りつけた。

「なにいよんであんたは!!うちらが1日も休まずに世界中をまわってビジネスをしている時にあんたはチャラチャラチャラチャラチャラチャラチャラチャラチャラチャラチャラチャラチャラチャラ…と生きているじゃないのよ!!…チャラチャラ生きているあんたにうちらの気持ちなんか分かってたまるか!!」

この時、特大広間に付き人軍団の男たち1000人がやって来た。

付き人軍団の男たちは、イワマツグループの全メンバーたちの護衛に入った。

イワマツグループの全メンバーたちは、席から離れたあと出発の準備を始めた。

その間に、ゆらさんがゆかさんに飛びかかって行った。

「いたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたい…」

ゆかさんの髪の毛を思い切りつかんだゆらさんは、ものすごく怒った声で言うた。

「ふざけるな!!ゆかねーちゃんのわからず屋!!うちが専業主婦をしていることがそないにいかんの!?」
「髪の毛を引っぱんないでよ!!」

思い切りブチ切れたゆかさんは、ゆらさんを突き飛ばした。

負けじとゆらさんも、ゆかさんを突き飛ばして反撃した。

「ゆかねーちゃんこそなによ!!」
「やったわね!!」

近くにいたいとが『ふたりともやめて!!』と言うたが、ゆかさんとゆらさんの耳にいとの声は届いていなかった。

ゆかさんに突き飛ばされたゆらさんは、起き上がったあと右手に作ったこぶしをふりあげながら怒鳴った。

「ゆかねーちゃんのドアホ!!」
「どついたろか!!」
「ああ!!どついたらぁ!!」
「もう怒ったわよ!!」
「ふたりともやめてください!!」

ゆかさんとゆらさんは、取っ組み合いの大ゲンカを始めた。

この時、たくみがゆかさんとゆらさんのケンカを止めに入った。

その間に(ゆかさん以外の)イワマツグループの全メンバーたちは出発準備を整えていた。

その中で、ゆかさんとゆらさんはドカバキの大ゲンカを繰り広げた。

「ゆかねーちゃんのわからず屋!!」
「わからず屋はあんたよ!!」
「やめてください!!ふたりとも落ち着いてください!!」

(ドーン!!バーン!!)

この時、たくみの後ろにいた公則《まさのり》がたくみにぶつかったはずみでじゅらくのカベに背中をぶつけた。

それを見たいとが怒った声で言うた。

「ちょっと!!長富《ながとみ》のあととりになんで暴力をふるうのよ!?」
「違いますよ…はずみでぶつかっただけですよ!!…ゆかさんとゆらさん!!」
「やかましい!!ドアホ!!」
「あわわわ!!」

(ドスーン!!)

たくみは、ふたりにつきとばされたあと庭に転げ落ちた。

「ゆかねーちゃんこそドアホ!!」
「専業主婦で床の間に飾られているあんたは世間知らずのドアホよ!!」
「ゆかおばさま!!ゆらおばさま!!」

この時、哲人《てつと》がゆかさんとゆらさんのケンカを止めに入った。

「世間知らずのドアホは、頭冷やして考え直せ!!」
「あわわわ!!」

(バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ!!)

哲人《てつと》は、ゆかさんとゆらさんにつきとばされたはずみで頭からふすまにダイブした。

(バーン!!バターン!!)

この時、哲人《てつと》の後ろにいた公則《まさのり》がつきとばされたはずみでじゅらくのカベに背中をぶつけた。

そのまたはずみで、天井が落ちて顔面を直撃した。

公則《まさのり》の顔は、右目にあおぢができたと同時に鼻から血がたくさんあふれ出た。

髪の毛は、逆立っていた。

思い切りブチ切れたゆかさんとゆらさんは、台所で大ゲンカを繰り広げた。

「なんやねんなんやねん!!ゆかねーちゃんはゆりねーちゃんとグルになってうちをぺちゃんこにつぶしだからやっつけてやる!!」
「食べ物を投げつけないでよ!!」

ゆかさんとゆらさんは、台所に置かれていた食材を投げつけて攻撃し合った。

「ふたりともやめてください!!」

そこへ、まきが止めに入った。

この時、ゆらさんが大きなケーキを手にしたあとゆかさんに投げつけようとした。

「ゆかねーちゃんのわからず屋!!」
「やめてください!!」

(ベト!!)

ゆらさんが投げつけたケーキがまきを直撃した。

ゆかさんは、小さめのケーキをゆらさんに向けて投げていたが、全部まきの背中に命中した。

「やかましい!!なまけもの!!」
「ゆかさんやめて!!」

(ベトベトベトベト!!)

その後、ゆかさんとゆらさんが再び取っ組み合った。

「ゆかねーちゃんのドアホ!!」
「あんたこそドアホ!!」

(バターン!!ガシャーン!!)

この時、勝手口のドアが壊れた。

ゆかさんとゆらさんのドカバキの大ゲンカは、庭先で繰り広げられた。

この時、まきとたくみが止めに入った。

「ふたりともやめてください!!」
「やめてください!!」
「ゆかねーちゃんのわからず屋!!池にしずめてやる!!」
「落ち着いてください!!」
「イヤァァァァァ!!」

(ドボーン!!)

この時、まきがつきとばされたはずみで池に落ちた。

「やめてください!!やめてください!!」
「わからず屋のあんたは、池に落ちて反省しろ!!」
「わあああ!!」
「あなた!!うしろに公則《まさのり》さんがいるわよ!!イヤァァァァァ!!」

(ドボーン!!)

ゆかさんとゆらさんにつきとばされたはずみで、まきとたくみと公則《まさのり》が池にまとめて落ちた。

ゆかさんとゆらさんのドカバキの大ゲンカは、このあと8時間に渡ってつづいた。
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