乳房星(たらちねぼし)−1・0

【ホントの気持ち】

話は、日本時間11月27日の夕方4時頃のことであった。

またところ変わって、大番頭《おおばんと》はんの家の特大広間にて…

広間のテーブルにいとと桃子《ももこ》とまきたくみ夫婦とたくみのかつての上司・内之倉章弘《うちのくらあきひろ》・一恵《かずえ》の夫婦と長男・和利《かずとし》と妻・日菜《ひな》夫婦と次男・福也《さちや》さん(32歳)の家族5人と一恵《かずえ》のオイゴ・奈良原大弥《ならはらひろや》(26歳)と婚約者・入来順子《いりきよりこ》さん(25歳・看護婦〜もとは看護自衛官だった)のあわせて11人が座っていた。

大弥《ひろや》は、陸上自衛隊のPKO部隊の終身要員に選ばれたので海外派遣のお仕事がメインになる…

年明け早々に、大弥《ひろや》は停戦監視団の要員としてゴラン高原に派遣されることが決まった。

そのために、大弥《ひろや》は11月22日頃に順子《よりこ》さんと入籍した。

大弥《ひろや》は、一恵夫婦《おばふうふ》といとに対して順子《よりこ》さんと入籍したこととゴラン高原へ行くことを伝えた。

その後、いとと一恵夫婦《おばふうふ》とまきたくみ夫婦は大弥《ひろや》と順子《よりこ》さんの挙式披露宴をいつ頃あげるのか…の話し合いを始めようとした。

この時、福也《さちや》さんが『フコーヘーだ!!』と言うて怒ったので話し合いが止まった。

一恵《かずえ》は、ものすごく困った声で福也《さちや》さんに言うた。

「福也《さちや》、なんで急に怒るのよ!?」
「ふざけるな!!大弥《ひろや》ばかりえこひいきしやがって!!」
「えこひいきしてないわわよ〜」
「いいや!!した!!」
「大弥《ひろや》は、年が明けたらゴラン高原へ行くのよ〜」
「だからなんじゃあいよんぞ!!」
「福也《さちや》はまだ相手《おあいて》がいないから…」
「相手《おあいて》がいないからなんじゃあいよんぞ!!」
「だから、そんなにあせらなくてもいいよといよんよ〜」
「ふざけるな!!ほんなら会社やめるわ!!」
「会社をやめるって〜」
「取引き先の会社に出向になったあとからうまくいかねえんだよ!!」

この時であった。

ものすごくダサい色のジャージ姿のゆらさんが特大広間にやって来た。

ゆらさんは、ケーソツな声で福也《さちや》に言うた。

「そないに出向がイヤなら斬《き》り捨《す》てたらええやん〜」

ゆらさんが言うた言葉に対して、いとが激怒した。

「ゆら!!」
「なんやねんもう〜」
「いらんこと言われん!!」
「うちは、福也《さちや》さんを楽にしてあげたいから言うただけや!!」
「ゆら!!」

ゆらさんは、クソナマイキな表情で言うた。

「ほな、なんでやめたらアカンねん…福也《さちや》さんは出向先の会社の待遇面《タイグウ》に不満があるのよ!!」
「福也《さちや》さんが出向で行った会社は、ひとが足りないので困っているのよ~」
「それがどないした言うねん…大弥《ひろや》はしあわせになってほしいから福也《さちや》さんはがまんせえと言うこと!?」
「だから、福也《さちや》さんは相手《おあいて》がまだいないのよ〜」
「そななこといよるけん、福也《さちや》さんに嫁はんが来ないのよ!!ほんなら、家には嫁はふたり以上は必要ないと言うの!?」

ゆらさんが言うた言葉を聞いた一恵《かずえ》がきびしい声で言うた。

「あなた!!」
「なんや!!」
「やっぱり、福也《さちや》にも嫁さんを迎えた方がいいわよ!!」
「せやけど…」
「あなた!!日菜《ひな》さんは共稼ぎで家にいない時が多いのよ!!真弥《しんや》(高校生)のお弁当を作ってくださる人がいないのよ!!」
「真弥《しんや》のお弁当だったら、お前が作れよ!!」
「うちは朝が弱いのよ!!だからお弁当を作るのがしんどいのよ!!」
「そななこと言うから、真弥《しんや》がヨフカシ・ネボー・チコクをするのだよ…」
「なによあなた!!」

この時、ゆらさんがものすごい血相で章弘《あきひろ》のもとにつめよった。

「ますますはぐいたらしいわね!!もとはと言うたら、あんたのムカンシンが原因だと言うことに気がつきなさいよ!!」
「なにすんねん~」
「うちはものすごくむしゃくしゃしてんねん!!」
「ゆら!!やめなさい!!」
「ふざけるな!!」

思い切りブチ切れたゆらさんは、章弘《あきひろ》とドカバキの大ゲンカを繰り広げた。

ゆらさんひとりのせいで大事な話し合いができなくなった。

その頃であった。

真備《まきび》に帰った奈保子《なおこ》の元ダンナが交通事故で亡くなった。

知らせを聞いたいとは、奈保子《なおこ》を福也《さちや》の結婚相手として紹介することを決めた。

(ゴーッ…)

時は、11月29日の夕方4時過ぎであった。

A・Bの2班のメンバーたちが乗っている専用機が大阪伊丹国際空港に到着した。

A・Bの2班のメンバーたちは、専用機から降りたあとタラップ下に停まっている阪急バスのロゴ入りの80人乗り特大バスに乗り込んだ。

(ブロロロ…)

夕方4時半頃、A・Bの2班のメンバーたちが乗り込んだ80人乗りの特大バスが大阪伊丹国際空港から出発した。

バスは、阪神高速道路を通って堺市《さかいほうめん》へ向けて走行した。

(ピーッ、ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)

同じ頃であった。

C班のメンバーたちとポムじいさんとゆみさんとエレンさんは、関西国際空港で専用機から降りたあと南海電鉄特急《なんかいとっきゅう》ラピート号に乗って堺市《さかいほうめん》へ向かっていた。

夕方6時半頃にA・B・Cの3班のメンバーたちとポムじいさんとゆみさんとエレンさんは大番頭《おおばんと》はんの家に到着した。

ところ変わって、家の中にて…

A・B・Cの3班のメンバーたちとポムじいさんとゆみさんとエレンさんが家に入った時に、いとがものすごく困った声で言うた。

「もうおそいわよ〜」

それを聞いたゆみさんが怒った声でいとに言うた。

「おかーちゃん!!うちらはものすごくいそがしい中で時間を作ってここまで来たのよ!!それなのになんやねん!!」
「うちはひどく困っているのよ〜」

ゆかさんがものすごく怒った声で言うた。

「おかーちゃん!!ゆらひとりのせいで予定変更をしいられたうちらの気持ちを考えてよ!!心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い…と言うてばかりいたら、ホンマにさみしい人間になるわよ!!おかーちゃん聞いてんの!?」
「ゆか、そないに怒んな…」
「おとーちゃんもしっかりしてよ!!」
「わかってまんがなぁ〜」

ゆかさんに怒鳴られた大番頭《おおばんと》はんは、ひどくオタオタしていた。

ゆかさん…

そないにガーガーおらんだらしんどいねん…

私は、ものすごく弱った表情でつぶやいた。

この日の夕食は、大番頭《おおばんと》はんカタでいただくことになった。
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