乳房星(たらちねぼし)−1・0

【サクセス】

時は、日本時間12月2日の朝7時過ぎであった。

(ジュー…)

またところ変わって、大番頭《おおばんと》はんの家の台所にて…

台所に揚げ物を揚げる音が聞こえていた。

奈保子《なおこ》は、真弥《しんや》がお昼に食べるお弁当を調理していた。

この時、勝手口から60代後半の奥さまが入った。

奥さまは、ものすごくもうしわけない表情で奈保子《なおこ》に言うた。

「奈保子《なおこ》さん〜」
「お向かいの奥さま。」
「いそがしいところもうしわけないけど、マゴ(男の子・5歳)のお弁当を作ってほしいけど…」
「マゴちゃんのお弁当ですか?」
「嫁(46歳)が先週の金曜日に…シキュウキンシュで入院したので…嫁がお弁当を作ることができなくなったのよ…あの〜…もうしわけないけど、(マゴ)のお弁当を作っていただけますか?」
「あっ、はい。」

奈保子《なおこ》は、真弥《しんや》に作る予定のお弁当を作っていたがお向かいの奥さまにせがまれたので急きょ(マゴ)のお弁当を作ることにした。

この時であった。

ブレザーの制服姿の真弥《しんや》が通りかかった。

真弥《しんや》は、怒った表情で『行ってくる!!』と言うたあと家から出ようとした。

奈保子《なおこ》は『待って〜』と言うて真弥《しんや》を止めた。

「待ってよ!!」
「なんで止めるんや!!」
「お弁当を持って行ってよ!!」
「いらねーよ!!」
「真弥《しんや》さん!!」
「オレの弁当よりもよその家のクソガキの弁当を作る方が大事か!?」
「お向かいの家のお嫁さんは、先週の金曜日に入院したのよ!!」
「だからオレをないがしろにするのか!?」
「今は、(マゴ)ちゃんのお弁当を作っているのよ…(マゴ)ちゃんのお弁当ができたら真弥《しんや》さんの作るから〜」
「いらねーよ!!あんたの作った弁当よりも(友人)のオカンが作った弁当の方がうまいわ…せやけん作っていらん!!」
「待ってよ!!」
「どけ!!」

(がツーン!!)

思い切りブチ切れた真弥《しんや》は、グーで奈保子《なおこ》のこめかみを殴りつけた。

その後、真弥《しんや》はお弁当を持たずにそのままガッコーへ向かった。

時は、7時20分頃であった。

またところ変わって、特大広間にて…

特大広間のテーブルにいととゆらさんと遥輝《はるき》桃子《ももこ》の夫婦の家族4人と奈保子《なおこ》がいた。

テーブルの上には、奈保子《なおこ》が作った朝ごはんが並んでいた。

そこへ、背広姿の和利《かずとし》と通勤服姿の日菜《ひな》と通勤服姿の章弘《あきひろ》一恵《かずえ》がやって来た。

一恵《かずえ》は、いとに声をかけた。

「おはようございます〜」
「あら、内之倉《うちのくら》の家のみなさま、おはようございます〜」

この時、お向かいの家の奥さまと幼稚園服姿の男の子のマゴがやって来た。

一恵《かずえ》は、奈保子《なおこ》に対してあつかましい声で言うた。

「奈保子《なおこ》さん!!」
「はい?」
「真弥《しんや》のお弁当は作ったの!?」
「えっ?」
「えっ?じゃないでしょ!!真弥《しんや》が食べるお弁当は作ったのと聞いてるのよ!!」
「ごめんなさい…お向かいの奥さまにせがまれて…(マゴ)ちゃんのお弁当を作ってしまったので…食材がなくなりました…」
「奈保子《なおこ》さん!!」
「ごめんなさい〜」

お向かいの家の奥さまは、ものすごく困った声で奈保子《なおこ》に言うた。

「奈保子《なおこ》さん、(マゴ)のお弁当は?」

一恵《かずえ》は、ものすごく怒った声でお向かいの奥さまに言うた。

「あんたは横から入らないでよ!!」
「あの〜、うちは(マゴ)のお弁当を受け取りに来たのよ〜」

この時、朝ごはんを食べていたゆらさんがものすごく怒った声で言うた。

「朝からくだらんケンカをしないでよ!!」

見かねた遥輝《はるき》がゆらさんを止めた。

「ゆらねーさん、やめろよ!!」
「遥輝《はるき》は横から入らないでよ!!」

思い切りブチ切れたゆらさんは、一恵《かずえ》に対して怒った声で言うた。

「あんたら!!朝からくだらんケンカしないでよ!!ことのほったんはなんやねん!!」

ゆらさんにすごまれた一恵《かずえ》は、ものすごくあつかましい声で言うた。

「だから、奈保子《なおこ》さんが真弥《しんや》のお弁当を作らずによその家のマゴの弁当を作ったから怒ってるのよ!!」

お向かいの家の奥さまは、困った声で一恵《かずえ》に言うた。

「あの〜、うちは急いでいるのです…(マゴ)が乗る幼稚園バスがもうすぐ来るので…」

一恵《かずえ》は、ものすごい血相でお向かいの家の奥さまを怒鳴りつけた。

「あんた!!」
「なんやねん〜」
「なんで奈保子《なおこ》さんにお弁当を作ってと言うたのよ!!」
「せやから、嫁がシキュウキンシュで入院したのです…さ来週に手術を受ける予定なんです〜」

ゆらさんは、クソナマイキな表情で言うた。

「(お向かいの家の奥さま)は、料理ができんと言いたいのね!!…なんでもかんでも、嫁に押しつけてばかりいたからこなな非常事態を生んだのよ!!」
「ゆらねーさん、やめろよ!!」
「遥輝《あんた》は入らないでよ!!」

遥輝《はるき》を怒鳴りつけたゆらさんは、台所に置いていた小さなお弁当箱を手に取った。

その後、お向かいの家の奥さまにお弁当の中身を投げつけた。

「エーンエーンエーンエーンエーンエーンエーンエーンエーンエーン…」

この時、奥さまのマゴちゃんが『エーンエーン…』と言うて泣き出した。

いとは、ものすごく怒った声でゆらに言うた。

「ゆら!!なんで(お向かいの家)の奥さまに暴力をふるうのよ!!」

ゆらさんは、ものすごい血相で怒った。

「このババァがうちにいちゃもんつけたのよ!!」
「お向かいの家の奥さまは、マゴちゃんのお弁当を作ってと頼んだだけよ!!」
「やかましい!!ドアホ!!」
「エーンエーンエーンエーンエーンエーンエーン…お弁当が壊れた〜…」

ゆらさんがよりし烈な声で怒鳴ったので、マゴちゃんの泣き声がさらにひどくなった。

それなのに、ゆらさんはものすごくナマイキな表情でズケズケと言いまくった。

「なんやねんクソババァ!!あんたは嫁はんに家事全般を丸投げしてなにしていたのよ!!嫁いびりばかりしていたから非常事態を生んだのよ!!ババァのせいで息子が自立できん男になったのよ!!」
「キー!!なんやねん!!」

(バシッ!!)

お向かいの家の奥さまは、ゆらさんを平手打ちで叩いた。

「ふざけるな!!」

(ドカッ!!)

思い切りブチ切れたゆらさんは、お向かいの家の奥さまを右足でけとばした。

この時であった。

マゴちゃんが通っている幼稚園の送迎バスの運転手のおっちゃんがやって来た。

「あの〜…(マゴ)ちゃんをお迎えにきました〜」

(ドカッ!!ドスン!!)

この時、お向かいの家の奥さまが運転手さんとぶつかった。

お向かいの家の奥さまは『キー!!やっつけてやる!!』と言うてゆらさんに殴りかかった。

「あんたみたいなクソババァはやっつけてやる!!」

ゆらさんとお向かいの家の奥さまがドカバキの大ゲンカを始めた。

「ゆらねーさん!!やめろよ!!」
「ふたりともやめてください!!」
「やめてください!!」

遥輝《はるき》と和利《かずとし》と運転手のおっちゃんの3人は、ゆらさんとお向かいの家の奥さまのケンカを止めに入った。

ドカバキの大ゲンカは、特大広間で繰り広げられた。

「なんやねんあんた!!」
「やかましいクソババァ!!」
「やめてください!!」
「やめてください!!」

つづいて、桃子《ももこ》と日菜《ひな》が止めに入った。

「あんたみたいなクソババァはぶっ殺してやる!!」
「やめて!!」

(ドーン!!)

この時、近くにいた健介《けんすけ》がじゅらくのカベに背中をぶつけた。

「なんやねんクソババァ!!」
「なんでうちにいちゃもんつけるのよ!?」
「いちゃもんつけたのはあんたでしょ!!」
「やめてください!!おだやかに話し合いをしてください!!」
「おだやかに話し合いなんかできないわよ!!」
「あわわわ!!」

(バリバリ!!ガチャーン!!ドーン!!)

この時、ゆらさんとお向かいの奥さまの大ゲンカを止めに入った運転手のおっちゃんが近くにあった仏壇にぶつかった。

そのはずみで、カベが倒れた仏壇によって壊れた。

仏壇もこなごなに大破した。

運転手のおっちゃんは、起き上がったあとゆらさんとお向かいの奥さまの大ゲンカを止めに入った。

「やめてください!!」
「ゆらねーさん!!」
「奥さま!!やめてください!!」
「なんやねんあんたは!!」
「やかましい!!クソババァ!!」
「あわわわ!!」
「キャー!!」

(バリバリバリバリバリバリ!!)

桃子《ももこ》と日菜《ひな》は、頭からしょうじにダイブした。

そのはずみでしょうじが大破した。

(ドーン!!メリメリメリメリ!!バーン!!」

和利《かずとし》と遥輝《はるき》は、じゅらくのカベに背中からぶち当たった。

そのはずみで天井が外れた。

外れた天井板は、和利《かずとし》と遥輝《はるき》の顔面を直撃した。

和利《かずとし》と遥輝《はるき》の顔は、鼻から大量の鼻血があふれ出た…

左目にあおぢができたと同時に、髪の毛がぐちゃぐちゃになった。

「なんやねんクソババァ!!」
「ギャアアアアアアア!!」

(ドーン!!ガラガラガラガラガシャーン!!)

思い切りブチ切れたゆらさんは、お向かいの家の奥さまを台所へ投げ飛ばした。

そのはずみで、たなに置かれていた金物類が転落した。

(バーン!!)

つづいて、たなに置かれていた金ダライがお向かいの家の奥さまの頭を直撃した。

このあと、ゆらさんが台所にやって来た。

「やっつけてやる!!」
「やめてください!!」

この時、遥輝《はるき》と和利《かずとし》と章弘《あきひろ》がゆらさんを止めに入った。

「キーッ!!怒ったわよ!!」
「奥さまやめてください!!」

日菜《ひな》と桃子《ももこ》と一恵《かずえ》がお向かいの奥さまを止めに入った。

「ふざけるな!!」
「やっつけてやる!!」

ゆらさんとお向かいの家の奥さまは、そんなことはお構いなしに台所にあった食材を投げつけた。

「奥さまやめて!!」
「ふざけるな!!」

お向かいの奥さまは、ゆらさんに向けて白のプラスティックケースに入っていた激カラキムチを投げつけた。

(ベチョベチョベチョベチョベチョ!!)

激カラキムチは、運転手のおっちゃんの顔に次々と直撃した。

「あんたみたいなクソババァは、いらつくのよ!!」
「ゆらねーさん!!やめてください!!」

思い切りブチ切れたゆらさんは、近くにあったコチュジャンをお向かいの奥さまに向けて投げつけた。

(ベチョ!!)

投げつけたコチュジャンは、運転手のおっちゃんの顔にかかった。

その後、ゆらさんとお向かいの家の奥さまは、止めに入った人たちをはねのけた。

「あわわわわわ…」
「キャー!!」

その後、お向かいの家の奥さまが大きめのケーキを手に取ったあとゆらさんに投げつけた。

「ぶっ殺してやる!!」
「奥さまやめて!!」

(ベト!!)

お向かいの奥さまが投げつけた大きめのケーキは、日菜《ひな》にぶつかった。

日菜《ひな》は、ケーキまみれになった。

「死ねやクソババァ!!」
「ああ!!幸《みゆき》あぶない!!」

この時、幸《みゆき》がふらついた足取りで台所に来たので桃子《ももこ》が声をかけた。

しかし…

(ベト!!)

ゆらさんが投げつけた大きめのケーキが幸《みゆき》の身体に直撃した。

その後、ゆらさんとお向かいの家の奥さまは金具類を投げつけて攻撃した。

「やめてください!!いたいいたいいたい!!」

止めに入った桃子《ももこ》が金具類の攻撃を受けた。

その後、ゆらさんとお向かいの家の奥さまが取っ組み合いの大ゲンカを始めた。

この時、和利《かずとし》と遥輝《はるき》と運転手のおっちゃんが止めに入った。

しかし…

(バターン!!ガシャーン!!)

重みが原因で勝手口のドアが大破した。

このあと、ドカバキの大ゲンカは庭先に移った。

この時、幼稚園バスに同乗していた女性の先生ふたりがやって来た。

「運転手さん、いつになったら出発するのですか!?」

(ドーン!!)

「ギャアアアアアアアアア!!」

(ドスーン!!ズボッ!!)

女性の先生ふたりは、庭に置かれていた樽類に突っ込んだ。

そのはずみで、おしりから樽にはまってしまった。

(ベチョベチョベチョベチョベチョベチョベチョベチョ!!)

つづいて、上に置かれていた樽の中に入っていたヌカミソが女性の先生にたくさんかかった。

「やめてください!!」
「ふたりともやめてください!!」
「やかましい!!ドアホ!!」
「あわわわわわわわわわ!!」

和利《かずとし》と遥輝《はるき》と運転手のおっちゃんは、ゆらさんとお向かいの家の奥さまによって突き飛ばされた。

(バキバキバキバキ!!ボトン!!)

運転手のおっちゃんは、庭にあったダイキの浄化槽のフタをこわしたあとコエダメに転落した。

(ドスーン!!ガシャーン!!プシュー!!)

和利《かずとし》と遥輝《はるき》は、近くにあった消火器にぶち当たった。

そのはずみで壊れたあと白い粉が吹き出た。

和利《かずとし》と遥輝《はるき》は、全身白い粉だらけになった。

ゆらさんとお向かいの家の奥さまのドカバキの大ゲンカは、池の前で繰り広げられた。

「ふざけるな!!池に落としてやる!!」
「ギャアアアアアアアアア!!」

(ドボーン!!)

お向かいの家の奥さまは、ゆらさんに投げ飛ばされたはずみで池にダイブした。

「やっつけてやる!!」

思い切りブチ切れたゆらさんは、お向かいの家の奥さまに殴りかかろうとした。

この時、桃子《ももこ》と日菜《ひな》が止めに入った。

「ゆら義姉《ねえ》さんやめて!!」
「ゆらさんやめてください!!」

この時、コエダメに転落した運転手のおっちゃんと全身白い粉だらけの和利《かずとし》と遥輝《はるき》が通りかかった。

「やっつけてやる!!」
「やめて!!」
「やめて!!」
「わあああああああああ!!」

(ドボーン!!)

ゆらさんと止めに入った桃子《ももこ》と日菜《ひな》と運転手のおっちゃんと和利《かずとし》と遥輝《はるき》がまとめて池にダイブした。

「なにすんねん!!」
「やかましい!!クソババァ!!」
「やめて!!」
「なんでおれたちまでこなな目にあわなアカンねん!!」
「もとはと言うと、あのクソババァが悪いのよ!!」
「ゆらねーさん!!」
「やめて!!」

ゆらさんとお向かいの家の奥さまと止めに入った人たちは、池の中でドカバキの大ゲンカを繰り広げた。

「うえ~ん!!」
「うえ~ん!!」
「幼稚園に行きたいよ〜」
「おともだちと遊びたいよ〜」
「おゆうぎしたいよぅ〜」

この時、家の前に停まっている幼稚園バスに乗っている幼稚園児《こども》たちがより強烈な声で泣き出した。

それなのに、ゆらさんとお向かいの家の奥さまと止めに入った人たちはドカバキの大ゲンカをつづけていた。

ドカバキの大ゲンカは、夕方5時過ぎまで延々とつづいた。
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