乳房星(たらちねぼし)−1・0

【イジワルな神様】

時は、1月5日の午前11時頃であった。

またところ変わって、今治市大島にあるよしうみバラ公園にて…

バラ公園のイベント広場で愛媛県の結婚支援事業の主催の合同結婚式が開かれていた。

ステージにイベントの主役のカップルさんたち5組が上がっていた。

5組のカップルさんたちは、幸せイッパイの表情を浮かべていた。

さて、その頃であった。

またところ変わって、今治市湯ノ浦の高台にあるホテルアジュール(リゾートホテル)にて…

ホテルのエントランスホールのカフェテリアに福也《さちや》さんと章弘一恵《あきひろかずえ》と和利日菜《かずとしひな》の二組の夫婦と奈保子《なおこ》と奈保子《なおこ》とお見合いする予定の景山新《かげやまあらた》(40歳・サラリー)と新《あらた》の兄・耕史《こうじ》(50歳・サラリー・独身)と母・晃代《てるよ》の3人家族のあわせて9人がいた。

晃代《てるよ》は、福也《さちや》さんの伯母《おば》にあたる人である。

耕史《こうじ》と新《あらた》は、福也《さちや》さんのいとこである。

順子《よりこ》さんと結婚した大弥《ひろや》は、イラクのサマーワにいて自衛隊による人道復興支援活動に取り組んでいたが9年前に現地で発生したテロ事件で犠牲になった。

大弥《ひろや》の家族は、今も連絡が取れない状態であった。

真弥《しんや》は、2004年1月にお弁当たかりの被害を受けた男子生徒が起こしたニンジョウザタが原因で死亡した…

…で、家庭環境が一変した。

このために、章弘一恵《あきひろかずえ》の夫婦は福也《さちや》さんにお嫁さんが必要になったので改めて奈保子《なおこ》とお見合いさせようと決めた。

しかし、晃代《てるよ》が一恵《かずえ》に助けを求めたことが原因でまた予定変更をしいられた。

晃代《てるよ》は、一恵《かずえ》に対して『新《あらた》が悲しんでいるので、なんとかしてあげたい…』と言うて助けを求めた。

そういうことで、一恵《かずえ》は急きょ福也《さちや》さんをここ(ホテルアジュール)へ呼んだと言うことである。

一恵《かずえ》は、福也《さちや》に対してものすごくもうしわけない声で言うた。

「福也《さちや》、ちょっと言いにくい話だけど…怒らないで聞いてくれる?」
「言いにくい話って、なんだよぅ〜」
「福也《さちや》…家庭の事情が変わったから結婚させたいと思っていたけど…急に都合が悪くなったのよ~」

福也《さちや》さんは、ものすごくいらついた声で言うた。

「いよる意味が分かん!!」

一恵《かずえ》は、ものすごく困った表情で言うた。

「だから、おかーさんの都合が急に悪くなったのよ〜」
「いよる意味がわからん!!」
「困ったわね〜」

ものすごく困った表情を浮かべている一恵《かずえ》は、ヘラヘラと嗤《わら》っている晃代《てるよ》に対して怒った声で言うた。

「晃代《てるよ》!!」
「ねえさん…」
「あんたはなに考えているのよ!!」
「ねえさん、なに怒っているのよ?」
「はぐいたらしい妹ね!!うちはあんたのために急きょ一席《せき》を設けたのよ!!新《あらた》が大好きだったカノジョを他の男性に取られたから悲しんでいると言うたから急きょ一席《せき》を作ったのよ!!」
「ねえさん…」
「晃代《てるよ》!!あんたの口から説明しなさい!!」
「分かったわよ〜」

しぶちんの表情を浮かべている晃代《てるよ》は、福也《さちや》に事情を説明しようとした。

この時、福也《さちや》さんは左腕につけているシチズンエコドライブ(ソーラー電波クロノグラフモデル)を見ていた。

時計のはりは、11時10分になっていた。

正午までにイオンモール新居浜へ行く予定になっていたので、福也《さちや》さんはソートー気が立っていた。

福也《さちや》さんが座っている席の前に旧式のふたつおり(Iモードを契約してない…電話のみが使える)が置かれていた。

ものすごく気が立っている福也《さちや》さんは、怒った表情で晃代《てるよ》に言うた。

「伯母《おば》さま!!」
「福也《さちや》さん…」
「私は、仕事関係の人たちを待たせているのですよ!!正午までに合流すると言うヤクソクがあるのですよ!!」
「福也《さちや》…」

この時、一恵《かずえ》がおたついた表情で福也《さちや》をなだめた。

一恵《かずえ》は、晃代《てるよ》に対して怒った声で言うた。

「晃代《てるよ》!!」
「ねえさん。」
「福也《さちや》はものすごく忙しい中で時間を作ってここに来たのよ!!ひとことでもいいから福也《さちや》に言いなさい!!」
「分かったわよ〜」

一恵《かずえ》から怒鳴られた晃代《てるよ》は、ものすごくあつかましい表情で新《あらた》に言うた。

「新《あらた》!!」
「かあさん〜」
「おまえひとりのせいでみんなにメーワクが及んでいるのよ!!」
「分かってるよ〜」
「おまえが大好きだった(カノジョ)さんを他の男性に取られたから悲しいと言うたから、伯母《おば》さんにたのんで一席《せき》をもうけたのよ!!」

福也《さちや》さんは、怒った表情で晃代《てるよ》に言うた。

「あの〜…これはどう言うことでしょうか?…新《クソヤロウ》が悲しんでいると言うのはどう言う意味が説明しろよ!!」

福也《さちや》さんにすごまれた晃代《てるよ》はひどくおたついた。

一恵《かずえ》は、ものすごくあつかましい声で福也《さちや》さんに言うた。

「実は…新《あらた》が好きだったカノジョさんは…きょう…(吉海の)バラ公園で開催されている(愛媛県の結婚支援事業が主催の)合同結婚式で…お相手の人と結婚式を挙げたのよ…」

福也《さちや》さんは、ものすごく冷めた表情で言うた。

「新《クソバカ》は、カノジョを他の男に取られたことが悲しいと言うのか?」
「新《あらた》が悲しんでいるから奈保子《なおこ》さんをゆずってといよんよ!!」

福也《さちや》さんは、ますます冷めた表情で言うた。

「だったら、愛媛県《けん》の結婚支援事業《しえんじぎょう》の事務局に行ったらどうですか?」

一恵《かずえ》は、ものすごくなまけた言葉で福也《さちや》さんに言うた。

「愛媛県《けん》の結婚支援事業《しえんじぎょう》があることは知ってるわよ~…だけど、新《あらた》の年齢に合う方法がないのよ~」

福也《さちや》さんは、ものすごく怒った声で一恵《かずえ》に言うた。

「かあさん!!いいかげんにしてくれよ!!」
「なんでそんなに怒るのよ~」
「かあさんがわけのわからないことばかり言うたからだ!!…うんと前は、新《クソバカ》がカノジョがいる人がうらやましいと言うたから一席《せき》を設けたことを聞いたんだよ!!…うらやましいと思うのだったら、自分自身で動けよ新《クソバカ》!!」

一恵《かずえ》は、ものすごく困った表情で福也《さちや》さんに言うた。

「なんで新《あらた》にひどいことを言うのよ…新《あらた》は動きたくても動くことができないのよ~」
「ふざけるな!!」

思い切りブチ切れた福也《さちや》さんは、席を立ったあと晃代《てるよ》と耕史《こうじ》に対して握りこぶしをふりあげてイカクしたあとホテルの外へ飛び出した。

「福也《さちや》さん…福也《さちや》さん…」

日菜《ひな》は、福也《さちや》さんを追いかけて外へ出た。

しかし、福也《さちや》さんはものすごく怒っていたので日菜《ひな》の声は福也《さちや》さんの耳に届いていなかった。

それから数分後であった。

カフェテリアに戻った日菜《ひな》がスットンキョウな声をあげた。

「たいへん!!」

和利《かずとし》は、おどろいた声で『どうしたのだ?』と言うた。

日菜《ひな》は、困った声で言うた。

「福也《さちや》さん、ケータイを置いて出ていったわ!!」
「ケータイを忘れて出ていった?」
「うん。」
「(和利、のんきな声で言う)また戻ってくるよ…」

日菜《ひな》は、ものすごく困った声で『…だといいけど…』と言うたあとこうつぶやいた。

福也《さちや》さん…

今どのあたりにいるのよ…

大急ぎでケータイをとりに来てよ〜
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