宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜
あーー、ダメだ。何してるんだろう。
頭から消したはずなのに気になって仕方なくて、ぼーっとしちゃうなんて。こんなんじゃダメだ、仕事に集中しないと……!
頭を切り替えるため、コーヒーを買いに行くことにした。
コーヒーショップは昼下がりでそこそこ人が並んでいる。新作のフラペチーノがお目当てのようだ。
フラペチーノを頼むのならまだ頑張りが足りないな、と普通にコーヒーを頼むことにした。
チャリーン。
甲高い音が聞こえたと思ったら、目の前に小銭が散らばっていた。前に並んでいた人が小銭をぶちまけてしまったらしい。
私はしゃがんで小銭をかき集めた。
「どうぞ」
「わ、すみません……!ありがとうございます」
ベレー帽を被り、金フレームの丸渕メガネをかけた若い女性が申し訳なさそうに受け取る。
何となく既視感を覚えた。
「ありがとうございます。電子マネーの時代ですけど、手元にお金がないって何だか不安になっちゃうんですよね〜」
メガネの女性は少し恥ずかしそうに笑いながら言った。
「ああ、わかります。私も現金派です」
「えっほんとですか!?」
その人はものすごく瞳を輝かせていた。改めてものすごく美人だということがよくわかる。
「出ていくお金がわからないと不安になっちゃうんですけど、貧乏性だねって言われたことあって。同じ現金派で嬉しいです〜!」