宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜


 現金派なんて珍しくないと思うけど、貧乏性という考え方はセレブならではなのかなぁと思ったりもした。
 宝さんも電子マネーとかクレカ派みたいで、毎月光熱費とかいくら払ってるか知らないらしい。


「堅実的で素敵だと思いますよ」

「えっやだ!お姉さんったら褒め上手ですね!」


 両手を頬に当てて嬉しそうにする仕草はあざといなぁと思ったけど、ものすごくかわいい。
 そして左薬指に光る指輪に目がいってしまった。

 職業柄めざとくなってしまったというのはあるけど、加えてクリスタル・ティアーの指輪だったからつい反応してしまった。


「クリスタル・ティアーの指輪、綺麗ですね」

「あっこれ!?よくわかりましたね!」

「私も好きなブランドなので」


 宝さんと何度も打ち合わせしていたからか、何となく見ただけでわかるようになった。


「私もクリスタル・ティアーが大好きなんです〜。これね、私の大好きな人がデザインしたんですよ!」


 え――……?


「あっ次私だった!ついお喋りしちゃってごめんなさい!ありがとうございました!」


 彼女がパタパタとレジまで駆けて行くのを、ぼーっと見送った。

 クリスタル・ティアーの指輪ってことは、デザインしたのは宝さんということになる。
 宝さんが大好きな人?宝さんがデザインした指輪を左薬指に付けているということ?

 何が何だかわからなくて、「次のお客様どうぞ」という声がなかなか耳に届かなかった。


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