宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜
この話の通じない人をどうすればいいかわからずにいたら、急にグイッと強い力で引っ張られた。
「彼女は俺の連れだが何か?」
「っ、宝さん……」
宝さんは普段より二トーンくらい低い声で、見たこともないような氷の目で男性を睨み付ける。
氷点下の宝さんにもだけど、それよりもしっかりと腰に手が回されていて――。
「――失せろ」
「ヒィッ!」
男性は情けない声をあげて逃げていった。その後ろ姿を見ながらホッと安堵する。
宝さんが来てくれてよかった。
ベリが丘タウンでもああいう輩がいるなんて。
「宝さん、ありがと……」
「大丈夫か結瑠!?」
先程とは打って変わり、宝さんはかなり焦った表情で私を見つめた。
「変なことされてないか?」
「だ、大丈夫。宝さんが来てくれたから」
「そうか……やっぱり迎えに来てよかった」
心底心配してくれていたようで、ふーと息を吐く宝さんにドキドキしてしまった。
「本当に来てくれてありがとう……迎えに来るなんて大袈裟だと思ってたけど、助かったわ」
「結瑠、これから毎日迎えに行こうか」
「ええっ!?」
「またこんなことがあったら困るだろう」
冗談で言っているわけではない、本気だからこそ宝さんは真顔で淡々としている。
私も段々この人のことがわかってきた。