私が一番近かったのに…
旅行から帰ってきた後、どうやって終わりを告げたらいいのだろうか。
今のところ、まだノープランだ。告げるにしても、なかなかタイミングが難しい。
頭の中であれこれ考えても仕方がないので、時がくるまで待つことにした。
愁も別れのタイミングとか考えてるのかな。考えていないことを心の中で願った。
こんな願いは我儘だと分かっている。それでも、愁にはもっと一緒に居たいと思っていてほしい。

この間、抱きしめられた時、本当は嬉しかった。素直になれない自分が辛かった。
私の頭の中は、愁と愁の彼女のことでいっぱいだ。
愁の本命は彼女。私はただの友達。なのに、あんなふうに抱きしめられたり、二人っきりで旅行するなんて、期待してしまう。
期待した分、傷ついてしまう自分がいて。もうたくさん繰り返してきたせいか、いつの間にか耐性がついていた。

それでも時々、こうやって辛くなる。辛いのは私だけではなく、愁も同じ。
お互いが辛い関係ならば、もう一緒には居られない。一緒に居ない方が良い。
どんどん気持ちが暗くなっていく。このまま旅行に行っても大丈夫だろうか。
どんよりした気持ちの中、サプライズが起きた。
それはクリスマスの前日の帰り道。自分のことばかり考えていた私は、すっかり忘れていた。

「幸奈、手出して」

いつも通り急に手を繋ぐんだろうな…ぐらいの軽い気持ちでいた。その時だった。

「ちょっと早いけど、メリークリスマス」

長細い箱が掌に置かれた。これってもしかして…。

「指輪はあげられないから、ネックレス。気に入らないかもだけど、良かったら使って」

確かにクリスマスは明日だけども。私にクリスマスプレゼントなんてあるとは思ってもみなかった。

「ごめん。私は何も用意してないや。
まさか、もらえるとは思ってもみなくて…」
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