私が一番近かったのに…
決して忘れていたわけじゃない。嬉しさのあまり、はしゃぎすぎてしまい、本来の目的を見失っていただけだ。
思い出した途端、抱きついていたことが、恥ずかしくなってしまった。
今夜、好きな人と身体を重ねると考えただけで、身体が熱くなってきた。
どうしよう。この旅行中、夜はたくさんするんだよね?
夜のことを考えただけで、途端に緊張してきた…。

「ゔぅ…。そうでした。ちゃんと身体で払わさせて頂きます」

それがお礼になるのであれば、こちらとしてはお安い御用だ。

「ベッドが二つあるから、広く使えるな。
今夜は色んなことができそうだ」

まだ早い時間だというのに、既に愁の頭の中は、破廉恥なことでいっぱいみたいだ。

「もう。まだ着いて間もないのに、すぐそっちの話?無駄に意識しちゃうじゃん」

せっかく、意識しないようにしていたというのに。
一度意識し始めたら、もう後には引き返せない。

「夜まで待たずに、今からする?」

昼間は夜に比べて明るいため、いつもよりはっきりと見えてしまう。
さすがにそれは、ちょっと恥ずかしい。
もう裸なんて、何度も見られてきたというのに、それでもまだ慣れずにいた。

「明るいから恥ずかしいよ……」

それにもし、大学の講義中に思い出したりでもしたら、講義どころではなくなってしまう。

「今、講義中に思い出したら…とか、考えてただろ?」

心の中を読まれてる?愁はエスパーなの?
こんな時だけ私の心の中を読めるくせに、肝心な時には気づいてくれないなんて、どうして上手くいかないんだろうって思った。
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