私が一番近かったのに…
「上になることがなかったから、上手くできるか自信がないけど」

「大丈夫。俺がフォローするから」

そうだ。私には愁がいるから大丈夫だ。

「うん、そうだね。愁がいるね。
受け止めて。私、頑張るから…」

私は頑張って、再び攻めてみた。
今度は上手くできたので、最後まで責め続けた。


           ◇


「ごめん。幸奈ん家なのに、汚しちゃって…」

私達は何度も求め合ったせいで、少し部屋を汚してしまった。
求め会う度に、行為は激しさを増していき、加減ができず、こうなってしまった。

「大丈夫だよ。あとで掃除すればいいだけだから」

笑顔でそう答えた。なるべく愁には気にしないでほしかった。

「いや、ここは俺に弁償させてください」

そこまで気にする必要はないが、どうやら愁は気になってしまう性格みたいだ。

「そこまでしてくれなくても大丈夫だよ。お気持ちだけでも充分なんで」

「いや、ダメだ。ここは俺が責任を取る必要がある。だから、俺に責任を取らせてください」

これは断るより、素直にご厚意に甘えてしまった方が良さそうだ。

「分かった。それじゃ、よろしくお願いします」

「ありがとな。そう言ってくれて気持ちが救われたよ。後日、ちゃんと弁償させて頂きますので…」

申し訳ない気持ちの方が大きいが、愁が私のために必死になってくれる姿に、私はそれだけで嬉しかった。

「いえいえ。それならよかったよ。せっかくだから、可愛いのを買ってもらおっと」

「あんまり高いのは買えないけど、ちゃんと希望の物は買うので」

もちろん、高い物を買わせるつもりはない。それなりの値段の物を買ってもらうつもりだ。

「本当?楽しみにしておくね」

「おう。楽しみにしててくれ」

愁との約束があるだけで、私は幸せで。ただ部屋の物を弁償してもらうだけなのに、私は楽しみで仕方がなかった。
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